●人生は贈り物

 話が飛びまくってしまったが、もう一度「タイタニック」に戻ろう。船の先頭にジャックとローズが立ち、両手を広げ、ローズが「私、飛んでるわ……!」と言うあの伝説のシーンも確かにいい。

 しかし、春のちょっと不安定になりがちなこの季節は、ジャックが金持ちだらけのディナーに誘われ、完全アウェーの状態で堂々とこのセリフを言い放つシーンを推したい。

「人生は贈り物だと思っています。僕は無駄にするつもりはありません」
I figure life is a gift and I don’t intend on wasting it.

 ホントにできた男だよ、ジャック(泣)!! 私は何度見ても、ここでグッと足を踏みしめる力をもらえるのである。

 スター街道まっしぐらに見えて、「何をやっても本人にしか見えない」という酷評に悩まされ続けたという、レオナルド・ディカプリオ。「タイタニック」の爆発的ヒットでイメージが固定したことによって悩んだ日々もあっただろう。

 名作は、きっと、演じる人たちの葛藤も含めたパワーで輝いている。

 誰かの心を動かす、きっかけを届けるために。

他の記事も読む
» 「青木崇高のビンタを仮想体験」ゴジラのMX4Dがすごすぎて椅子の上でタコ踊りしてしまった件
» 「顔文字の^一^状態のバカリズム」どれだけ遅れようが意地でも振り返る紅白歌合戦レポ2023年
» VIVANTから大奥まで。地上波ドラマの逆襲!? 2023年ヒットと激熱ドラマ大賞
»「梅吉よ、泣かないで」『ブギウギ』大阪パートの柳葉敏郎の明るさと悲しさ
» 「人間から魔法使いに昇格」ある日突然聞きたくなるTHE ALFEEのミステリー
» ナイス加齢!ドラマ「シッコウ!!」の情けない織田裕二から香る和製ジャック・ニコルソンの予感
» 「誰かトムを止めて!」ムチャをする61歳トム・クルーズに熱視線!
» ワイルド&タフ&エモーショナル! 止まらないTM NETWORK 結成40周年の進化

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2024.04.25(木)
文=田中 稲