いきなりで申し訳ない。「我ながら肩の力抜くのが下手だぜ族」挙手をお願いします。手を挙げた方、友よ……(固い握手)。一緒です! 私もなにをするにも緊張する。アプリをダウンロードする、電子マネーを差し出すなど、少しのことでも肩に力が入ってしまう。夏は暑さ、春と秋は気温の微妙な変化、冬は寒さ、どれも緊張の原因になる。オールシーズン、肩がガチガチだ!
どうすればよいのか、気が休まったことがないこの人生。最近では「もしかして石垣島に改善のヒントがあるのではないか」と思い始めている。
なぜ石垣島? 当然な疑問である。きっかけはBEGINである。このバンド、存在そのものがなんというか、とってもネイチャー。寄せる波のようにジワジワと聴きたくなって、砂が水を吸うように心に沁み入り、日常の忙しさでスーッと忘れ、しかしまた波のように聴きたい欲が押し寄せるというイメージなのだ。テクニカルなのに押しつけがましくない三線の音色。「ほのぼの」と「しみじみ」を攪拌させたような温かな歌声。軽やかで楽しいイーヤーサッサの掛け声! あのおおらかさを生んだ沖縄県石垣島に、私を解放するリラクゼーションがあるのではなかろうか。
実はこの夏、ビルボードライブ大阪の公演に行ったのだが バリバリ楽しい宴会に紛れ込んだ感覚! 踊りながらステージに乱入する人が出てきてもおかしくないくらい、オープンマインドな空気だった。気が付けば私は100年前からの彼らのファンのように手を振り上げ、「イーヤサッサ!」と大声で叫び踊り、この日が初対面の隣の座席の人と、100年前からの友人のように乾杯していたのである。BEGINの心の扉を開く音楽マジック、ヤバいぞ!
やさしすぎて切ない「声のおまもりください」
私がBEGIN(比嘉栄昇、島袋優、上地等)を知ったのは100年前ではなく35年前の1990年。デビューシングル「恋しくて」である。ただ、90年代の彼らの歌には、沖縄フレイバーはほとんど感じなかった。
当時のBEGINで私がよく覚えているのは、1996年の「声のおまもりください」。「さよならまたね」で始まるこの曲は、歌声があったかいから、余計にすごく寂しくて、たまらなかった。
それほど、「誰かを好きになってしまったら、とたんに心が頼りなくなる」というあの我慢ならない現象をズバリと歌い上げている。「恋ってそれおいしいの?」状態になってしまった今聴いても、破壊力は変わらず。夕焼けがきれいな日は、とても聴けない。やさしすぎて切なくて胸が苦しい。
そのほか「空に星があるように」のカバーなどが話題になったけれど、「恋しくて」ほど大きなヒット曲が出なかったBEGIN。それでも彼らはライブ活動を淡々と続けた。会場がどんどん狭くなっていったそうだが、3人は気にしない。それどころか、車一台で身軽に全国を回る旅を楽しんだそうだ。ええなあ。
小学校からずっと友達。ケンカしそうなものだが、100回同じ話をしても、笑ってしまうのだとインタビューで読んだ。ええなあ。
「ええなあ」と思わずニッコリし、肩の力が抜ける。私にとって、それがBEGINのイメージだ。
