この記事の連載

●「メリーアン」以前も人気だったアルフィーに驚く

 今年で50周年を迎える、THE ALFEE。それを記念し、「アルフィー50年分のアルバム全部聴いてみる大作戦」を決行中である。

 前回の記事では1stアルバムにボーナストラックが2曲ついた「青春の記憶+2」とデビュー年1974年に思いを馳せたが、今回は2ndアルバムから「BM」期のアルバムを追う。

 BMとは何か。Before MARIE-ANNE――。つまり「メリーアン」リリース前の期間である。言わずもがな、西暦で言うBC(キリスト誕生前)に倣っての表現である。

 私がアルフィーの存在を初めて知ったのは、「ザ・ベストテン」で「メリーアン」を歌ったときである。多分私のような方は多いのではないだろうか。

 調べてみるとBMの期間アルフィーは、ALFIEからAlfee、ALFEEと、読みは「アルフィー」のまま、ひたすら表記を変えてみるという不思議なアップロードを繰り返し、「無言劇」というヒットも出していた。さらにはアルバムを5枚(「メリーアン」収録の「ALFEE'S LAW」は含まず)もリリース。渋谷公会堂ライブも成功させている。エエッ、けっこうご活躍ではないか!

 ということで、今回は、2ndアルバム「TIME AND TIDE」から6thアルバム「ALFEE」までの感想を、本当にザックリではあるが書いていきたいと思う。

 現在、すべてサブスクで聴けるので、アルフィーを初めて聴く方もぜひ一緒に聴きながら、泣いたり浮かれたりしんみりしたりしよう。フォーク&ロック&ポップ&演歌etc、心が洗濯機に入れられたようにゴウンゴウンと激しくウォッシュされ、聴き終わった後は爽快感いっぱいだ。

●失恋族よ、ともに泣きながら聴こう。2ndアルバム「TIME AND TIDE」

「参った参ったまいっちんぐマチ子先生……」私は机に突っ伏した。1stアルバム「青春の記憶」もセンチメンタルモード大好きな私にとって、恐ろしいほどの名盤であったが、この「TIME AND TIDE」はその上を行った!

 初っ端から、耳にチロチロとあたってくる雨音の効果音。繊細に流れる高見沢さんのボーカルと3人のハーモニーがほら泣けとばかりに私の心を掻き乱す!

 そんな1曲目「雨」から始まり、12曲オール名曲、しかもそのうち9曲が片恋失恋お別れ曲――。ちょっと待て待て。私のためのアルバムではないか。「ゲーム・オーバー」なんて、一度楽曲が終わったかと思ったら、再び「ゲーム・オーバー……」と歌が復活する構成。これが沁みる。失恋後「もう終わってん。うん、終わった。うーん!」と延々言い続けて、友人に「アンタ実は未練タラタラやな!」とツッコまれた過去を思い出してしまったではないか。

「メモアール」はまさかの離婚がテーマである。しかも3人が寄ってたかって(1番坂崎さん、2番桜井さん、3番高見沢さん)どうすれ違ったかを検証してくるのだからたまらない。

 ツイてない恋や過去をこれでもかと歌ってくるが、ラストの「過ぎ去りし日々」でガッツリ慰めてくれるという見事な布陣。失恋族の聖書と言いきろう!

2024.05.18(土)
文=田中 稲