●「風曜日、君をつれて」が名曲だと今さら知る

 あれは確か昨年の秋の夜長。もし隕石が地球に落ち、世界が終わることになったら、最後、誰の音楽を聴きたいか。そう想像したとき、無意識にひょっこり、

「アルフィーかな……」

 と呟いてしまい、自分で「ああアルフィー!?」とビックリした、という事件があった。

 大好きなアーティストは他にもたくさんいるのに、潜在意識が敢えてアルフィーをチョイスしてきた不思議。その戸惑いを記事にしてから、早くも5カ月が経った。

 冬の間、80年代よく聴いた彼らのヒット曲を堀り返した。確かに、名曲が多い。特に「風曜日、君をつれて」は、こんなにいい曲だったかとびっくりしている。まさに今この瞬間もBGMとして流しつつ、春の風のやさしさを感じている。

 最新アルバム「天地創造」も聴いた。素晴らしい。「組曲: 時の方舟」は聴きながら、自分がどこにいるのか分からなくなった。恐ろしいほどのエデン・フレイバーである。

 腰を据えて追いかけてみるか――。そう思う私の背中をさらに押したのは、アル中のファンの方のこの書き込みである。

「私はメリーアンからの新参者です」

 しっ……!? 新参者の定義がすごいことになっている。「メリーアン」リリースは1983年、ガッツリ40年ではないか。2、30年のファン歴すら「まだ」をつけてしまうほど、アル中の方々の長期中毒が深刻化していることは知っていたが、こりゃ想像以上だと思った。アルフィー界隈はアメージングゾーンと化している! 人生100年時代と言われる昨今だが、ここは150年の換算だ。

 興味深い……(福山雅治ばりにメガネを上げる)。デビューから50年間、一回も活動休止せず、ファンたちと新たな時間軸を作っている彼らの軌跡(&奇跡)を1曲たりとも聴き逃してはならない気がしてきたぞ。私も立派なアル中になりたい!

 希望の鐘が鳴る。いざ「アルフィーのアルバム全部聴いて時空を超える計画」始動――。

 どうせなら少しでも誰かと感動を共有したい、と、なんとか前後編、2回の記事枠をいただいた。さあ前編、スターシップに乗ってライドオンウィズミーッ、まずはデビュー年の1974年に発売された「青春の記憶」!

2024.03.26(火)
文=田中 稲