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「メリーアン」。それは今年50周年を迎えるTHE ALFEEを語るのに、避けては通れない1曲である。

 リリースは1983年6月21日。「ザ・ベストテン」初ランクインは1983年9月8日。第7位だった。

 ここからジワジワジワジワ順位を上げて、ついに10月6日には第3位に! この週は1位「禁区」中森明菜、2位「CAT’S EYE」杏里、それに続く「メリーアン」なのである。この並びはアツい!

 ライブでは観客のみなさんも歌い、大合唱になるというではないか。まさに超名曲。これは心してかからねばなるまい――。ビッグエコー吹田岸辺店を前に、私は深呼吸をした。

 そう。私の任務は「メリーアン」歌朱印をゲットすること。前日に電話で部屋を予約し、「『メリーアン』の歌朱印はありますか」という確認まで入れての突撃である。

 よくよく見れば、この歌朱印マップ、非常によくできている。参加店は東京が多いのだが、ヒット曲が都市に集中しないよう、日本各地に分散されている。

 ならば行こう。どうせなら歌と舞も奉納すべきだろう!

●「メリーアン」奉納

 受付で歌朱印を欲しい旨を伝えると、スタッフの方が大きな箱をうやうやしく持ってきてくださった。そこから出された歌朱印「メリーアン」の筆文字は力強く、もはや古(いにしえ)から伝わる呪文のよう。なにやらご利益がありそうである。

 歌朱印を無事ゲットし、部屋に入り、お神酒(ビール)で喉を清め、いざ神楽(メリーアン)奉納――。

「夜ッ露~に~ねれッる~!!」

 かなり広い部屋に通していただき気持ちが解放的になったせいか、やたら快活なメリーアンとなってしまった。

 しかし最近のカラオケの機能の進化には驚きを隠せない。AIによるアドバイスがいろんなグラフ付きで細かく出てくる。一度目の「メリーアン」は点数がかなりのオロロン状態だったので、一言アドバイスを読んでみると、

「高音に違和感があります」

 ちょいちょい待て待て待て(怒)。「メリーアン」のサビ、「メリアーン! メリアーン!」の難しさがAIにわかるのか? あの「アーン……」の部分の浮遊感を粋に歌える日本人って少ないと思うのよ。しかも直後に、この曲の最も重要な叫び、「ウォンチュッステッフォーミー!」が控えている。この難易度の高さがわかって言ってる(泣)?

 さらにいえば、「最後にンがつく単語はかなり歌いにくい問題」は誰しもがぶち当たる壁。西城秀樹さんの「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」も、冒頭の歌詞「ヤングマンッ」を早口で歌わねばならず、「ヤンマンッ」となってしまい、ものすごく難しいんだぞ!

 つ、つい熱くなりヒデキまで巻き添えにしてしまった。このままでは終われない。その後5回連続で「メリーアン」を歌うことになるのだった。

 響き渡る「メリアーン! メリアーン! メリアンッ ウォンチュッステッフォーミー」の雄叫び。知れよAI、歌は音程ではない、魂だということを。そしてこの声よ届け、THE ALFEE 50周年の空にーッ!

2024.05.18(土)
文=田中 稲