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●大好きな「風曜日、君をつれて」の歌朱印が欲しい

 歌朱印をもらった興奮もあり明らかに常軌を逸した私だったが、これこそが「祭りのテンション」だと決めつけ、さらに気持ちは上がっていく。そして「星空のディスタンス」「1月の雨を忘れない」「風曜日、君をつれて」など、アルフィーの楽曲を立て続けに奉納。

 疲れて休憩として1番だけのつもりで松山千春の「恋」を入れ、

「愛する~ことに~疲れた~みたい~♪」

とおっさん座りしながらメロウに歌ったが、これまた陶酔力が凄まじく、目をつぶって最後まで熱唱してしまった。もう情緒はバラバラである。

 書くのを忘れていたが、一人カラオケである。想像してほしい。5人以上入れる広い部屋を、ミラーボール風の照明がグルグルと回って照らす。赤と青のドットの光が点滅するなか、踊ったりしゃがんだりしながら歌う汗だくの私の姿を――。

 いや、ひるむまい。今日の私はメリーアン。すがるような瞳と長い髪を持ったメリーアンなのよ! そう自分に言い聞かせ、最後にもう一度気力をふり絞り「メリーアン」を歌ったが、もう息も絶え絶えである。いかに己の体力が衰えているかを知った。そして、これらの歌を3時間歌うアルフィーの体力のすごさを知った。

 「メリーアン」がもたらしてくれた気づきである。

 1時間が過ぎ、カラオケを出て、私は空を見つめた。残念ながら曇天であったが、私には見えるぞ。その雲の向こうに広がる、爽やかな初夏の青空が。

 そして聞こえるとも。まさに今、この瞬間に、どこかのビッグエコーで誰かが歌朱印を手に響かせている歌声が!

 楽しかった。こうなると関西圏はもちろんだが、大好きな「風曜日、君をつれて」の歌朱印が欲しくなってくる。

 宇都宮か。餃子もおいしそうだし、新幹線に乗って行くか……。

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田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

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Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2024.05.18(土)
文=田中 稲