●「ゴジラ」のテーマ曲の迫力

 終わった時はもうグッタリ。こ、これはすごい。ゴジラの恐ろしさを肌で感じてしまった。私の隣には、昔からのゴジラのファンの方なのか、60代後半から70代くらいのご夫婦が座っていらっしゃったが、終わったあと、支え合いながら、よたよたと階段を下りていかれた。

 私もすぐには立てず、エンドロールで流れる「ダダダ、ダダダ、ダダダダダダダ!」というゴジラのテーマに身を任せる。劇中でもガンガン流れていたが、低音でお腹に響くこの「迫りくる感」よ! この映画の迫力は、このメロディーがあってこそ。作曲家は伊福部昭さんという方なのか。ウィキペディアを見てみると、初期のゴジラシリーズでは怪獣の鳴き声や足音までも担当し、なかなか決まらないゴジラの鳴き声に、コントラバスの音を提案したというからすごい! これは猛烈に聞きたい。まずは1954年上映の第1作「ゴジラ」を見よう。

 ゴジラ生誕70周年での、あまりにも遅い初ゴジラ体験だったが、本当に見て良かった。

 思わぬMX4D参戦により、気分的に落ち着いて見ることができない部分もあったが、それすらもリアル。いつ襲ってくるかわからない脅威と対峙する切迫感を知った。

 まだあの地鳴りのするような音楽が聴こえてくる。

 ダダダ、ダダダ、ダダダダダダダ……

 3月8日には日本アカデミー賞(作品賞をはじめ12の優秀賞受賞)、3月11日にはアカデミー賞(視覚効果賞ノミネート)授賞式。ぜひ選ばれてほしい。

映画『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中

監督・脚本・VFX:山崎 貴
出演:神木隆之介 浜辺美波
山田裕貴 青木崇高 
吉岡秀隆 安藤サクラ 佐々木蔵之介
©2023 TOHO CO., LTD.

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田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2024.03.08(金)
文=田中 稲