困った。「鎌倉殿の13人」からこちら、脳が求めてくるのだ。もっとちょんまげを、「~でござりまする」をくれ、と!

 もちろん、これまでもドラマ「仁~JIN」や映画『超高速!参勤交代』など、「時代劇っていいなあ」と思うことは何度もあったのだ。しかし、2022年の鎌倉殿ショックはちょっと特別で、「時代劇っていいなあ!!」とビックリマークが二つほど増えた感じだ。

 鎌倉殿だけではなく、「北川景子の美しさだけで元が取れる」と勧められて観に行った映画「大河への道」が想像以上に素晴らしかったのも大きい。伊能忠敬チームの地図作成の努力を描いたもので、観る前は正直さほど期待していなかったが、ドド泣けた。地図完成お披露目のシーンでは鳥肌が! 私の中で『エルヴィス』『トップガン マーヴェリック』を僅差で抑え、2022年のベストワン映画である。自分でも超意外な結果である。


「どうする家康」で若かりし頃の営業を思い出し「大奥」で仲 里依紗にハマる

 その流れで、2023年も時代劇に興味を持ち、大河ドラマ「どうする家康」と「大奥」にドップリである。細かい時代背景がわからなくとも、まばゆいばかりの役者勢の演技と袴と着物姿、チャンバラ、城の廊下で家来がひれ伏すハハーッに悶えている。

 「どうする家康」は松本 潤がとても良き。あんなに近代的な顔をしているのにちょんまげも似合うとは奇跡。まだ頼りなさ99.9%、イライラポイントも多い家康だが、それでも「大物になるまで待つわ」と守ってたくなるのは松潤だからこそ。

 それだけではない。追い詰められたらスイッチが入り、ハッタリ上等で「寅の年、寅の日、寅の刻生まれのワシに任せれば大丈夫!」的になる。しかしすぐあとで、あの真ん丸な目を見開き「どうすればええんじゃあ!」とオロオロ……。その情緒不安定ぶりが、我が思い出と重なるのだ。

 実は若かりし頃、仕事が欲しいあまり「私にしか書けませんよこれは!」と強く言いきり、実力も量もオーバーな仕事を請けたことがある。ホテルに帰って正気に戻った途端、「どうすればええんじゃー!」状態になった。まさか松潤(元康)と自分がシンクロする日が来ようとは……。応援しないわけにはいかない。

 何を考えているかよくわからない山田孝之の服部半蔵、そしてヘリクツをこねる松山ケンイチの本多正信も楽しみだ。

 ドラマ10「大奥」は、マンガから飛び出したような凛々しい冨永 愛、知的で儚い堀田真由、「べたっ」と画面にへばりつくような色気をたぎらせる仲 里依紗というバトンリレーが素晴らしく、やめられないとまらない状態となっている。

 特に仲 里依紗、恐ろしい子……! あまりにも煌びやかかつ妖艶かつふてぶてしいエネルギー。私はドラマ視聴後、すぐ彼女の公式YouTubeチャンネルにお邪魔した。すると、

「こんにちょわ~ん。仲 里依紗どぅえ~~す♪」

 おおうッ!? あまりのギャップにコーヒーを噴き出してしまった。自由。現世でも自由。ううむ、セブンイレブンの辛子明太子おにぎりを頬張る綱吉様、嫌いじゃない! そういえば映画『時をかける少女』でも、彼女の迸る生命力がスクリーンから溢れ出るようで見惚れたっけ。あれから13年。ギャルパワーが衰えるどころか、バージョンアップしているではないか。本当にタイムリープしている説が私の中で勝手に浮上している。

 仲 里依紗の動画がなによりありがたかったのは、「時代劇も肩の力を抜いて観てOK」と思えたことだ。私は歴史の知識があまりないし、時代劇にも詳しくはない。おかげで見方がひたすらミーハーだ。

 それでもいいじゃんいいじゃん――。彼女の動画を見てとても気楽になった。2月28日からは、冨永愛&中島裕翔による「八代将軍吉宗・水野祐之進編」に突入。予告の、冨永愛吉宗の「たわけ!」がかっこよすぎてすでに無限リピート。本編が楽しみ過ぎる!

2023.02.28(火)
文=田中 稲