遠山さんが選んだお弁当 BEST3

<おいしそうだったお弁当>
横川さんも選んだ佐藤多恵さんの【私の好きな秋ごはん弁当】

<印象的だったお弁当>
太田恵梨さんの【フェアにシェアできる弁当】

 弟がいて、「シェア」するとなると、いつも公平に分けられなかった思い出があるので、公平に分けやすい四角いお弁当をつくった。中身は、前菜のコーンのプディング、魚料理のサーモンとはんぺんのテリーヌ、肉料理のミートローフ、ゴーダチーズとクリームチーズ、デザートのパンプキンのケーキ。

<シェアなお弁当>
金塚雄太さんの【トルティーヤ弁当】

 ただ単に『分け与える』だけでなく、参加者同士がお弁当を「一緒につくる」ことが「SHARE」であるととらえ、トルティーヤのお弁当をつくった。今回は、いろんなおいしいものをみんなで「シェア」するので、このお弁当の中身は、お麩入り卵焼き、ハーブとネギとピクルス、牛肉のトマト炒めなどベースの材料だけにして、ほかの人のお弁当の中身を入れて食べるようにした。ソースは、サルサソース、チーズ、クリームチーズ、海苔の佃煮、はちみつ、アボカドディップを用意した。

【遠山さんのコメント】

 代官山時代は、イチジクなど紫色が散らばっている様子に唾液が刺激されていたが、丸の内時代に移行してから、茶色がぎっしりと詰まった状況に反応させられている。豚肉に大根がこんなに茶色くぎっしりになると、その甘辛い味覚の茂みに深く分け入らざるを得ない。

 ショートケーキをシェアする記憶が、との本人による説明があったために、あの白くクリリとした突起が小さなホイップクリームに見えてしまってから、私の中ではこのお弁当は甘い部類のババロアである。It's a small worldの鐘のリズムにのって、その塩味の実態に愕然と顎を外したい。

 トルティーヤを手に、他人のお弁当からおかずをもらってくる、すなわちシェア、という考え方には驚かされた。コンテンポラリーアート的なコンセプトによるアプローチが、ついにお弁当の領域に登場した記念すべき一品と言えよう。

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2013.11.15(金)
text:Rika kuwahara
photographs:MIki Fukano / Nanae Suzuki