引退から復帰を決意するまで
――持病の腰痛から舞台を降板し、その後は休業、さらには12年に引退に追い込まれてしまいますが、当時の心境を教えてください。
舞台の降板に関しては、楽しみにしてくださったファンのみなさんやいろいろな方にご迷惑をかけてしまいました。どうにもならないことなので、いろいろ悔しい思いはありました。それで、引退に関しては「一度やめてみる」という自分の選択でした。高校生の頃から、この仕事を夢中でやっていたこともあり、あまり人生設計のようなものを考えていなかったんです。それで、大人としての感情や考えを持っていないことに対して、不安になってしまったことが大きかったです。
――14年には俳優業を再開されますが、いちばんの理由は何だったんでしょうか?
やはり、心の中に未練もありましたし、休業中、個人的にブログを立ち上げたときに、たくさんコメントをいただいたんです。自分を必要としてくれるというか、自分のことを覚えていてくれている。それがとにかく嬉しかったんですが、人の縁もあって、いまの事務所の社長と出会ったこともあり、復帰するという道を選びました。
中村優一(なかむら ゆういち)
1987年10月8日生まれ。神奈川県出身。04年「第1回D-BOYSオーディション」でグランプリを受賞し、D-BOYSに加入。05年「仮面ライダー響鬼」、07年「仮面ライダー電王」に出演し、注目を浴びる。引退を経て、14年に復帰。現在、映画『恋のしずく』が公開中。
『黒蝶の秘密』
昇進のタイミングで東京にやってきた富山(染谷俊之)は、不動産屋の岡崎(中村優一)から「ブラックダリア(黒蝶)」の絵画が飾ってあるアパートを紹介される。アパートで出会ったミステリアスな美女・美緒(水沢エレナ)の存在も気になった富山は、その部屋へ入居することを決めるが、そこにはとんでもない秘密が隠されていた。
http://kokuchou.united-ent.com/
10月26日より、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほかにて公開。
(C)2018「黒蝶の秘密」製作委員会
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2018.10.19(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘