今年8月に行われた「G1 CLIMAX 28」では、3年ぶり3度目のチャンピオンに輝いた、新日本プロレスのプロレスラー、棚橋弘至。20年に及ぶプロレス人生を振り返った前回に続く今回は、40代になって大きな挑戦となった初主演映画『パパはわるものチャンピオン』について語る。
俳優業にも“受け”があること
――俳優のお仕事はこれまでも何度かされていますが、今回『パパはわるものチャンピオン』で、映画初主演の話が来たときの率直な感想を教えてください。
嬉しかったと同時に、とても驚きました。じつは僕の2人の子供が通っていた小学校の行事で、この映画の原作である2冊の絵本を読み聞かせていたんです。でも、僕がモデルで書かれた若手レスラーのドラゴンジョージじゃなくて、ゴキブリのマスクを被ったベテランレスラーの孝志役で依頼が来たことに、時の流れを感じましたね。もちろん、子供たちからは「なぜ、パパはドラゴンジョージじゃないの?」と言われました(笑)。
――今回、本格的にお芝居をされて、プロレスとの共通点はありましたか?
プロレスは相手の攻撃を、胸を張って受けるときもありますし、相手の攻撃で闘志を引き出されることもあるので、相手選手に試合を引っ張られることも多いんです。それを踏まえて、監督さんと演技レッスンをしているときに、「セリフは覚えても演技は固めないでください」と言われたんです。相手のセリフを受けた感情で、自分のセリフを言ってほしいということだったんですが、役者の仕事にも“受け”があることを知りました。監督さんに言わせると、奥さん役の木村佳乃さんと初めてリハーサルをさせてもらったときに、僕のお芝居もワンランクアップしたようです(笑)。
2018.10.05(金)
文=くれい響
撮影=白澤 正
スタイリスト=小林洋治郎(Yolken)
ヘアメイク=山田みずき