試合前に妻が言う
「危ないことしないでね」の意味

――劇中では家族との関係も描かれていますが、実生活でのご家族とのエピソードがあれば教えてください。

 僕がいつも試合に行くとき、奥さんが「危ないことしないでね」と言うんですよ。この仕事をやっている手前、最初は「何を言っているんだ?」と思っていたんですが、咀嚼してみると、「ケガしないで、無事に帰ってきてね」ということなんですよね。危ない試合をしても、自分の力で家に戻ってくることは、僕としてはプロの美学だと思っていますが、「危ないことしないでね」という言葉を通じて、僕の仕事を理解してくれていたことに気づいたときは嬉しかったですね。

――本作をご覧になった感想を教えてください。

 僕の「悪者がいないと、エースが活躍できないだろ?」というセリフには胸打たれました。あと、プロレス女子を代表する役を仲里依紗さんが演じられて、ファンの気持ちを代弁してくれるシーンもあるんです。何かをきっかけにプロレス好きになった女性が、もう一段階プロレスに詳しくなって、さらに好きになれる映画になりました。いろんな方に観てほしかったので、日常の家族とのシーンとプロレスの試合シーンのバランスが難しいと思っていましたが、日常のシーンを満たすために試合シーンは必要だし、試合シーンを説明するために日常シーンは必要というように、双方で補完し合う、ベストバランスの映画になりました。

2018.10.05(金)
文=くれい響
撮影=白澤 正
スタイリスト=小林洋治郎(Yolken)
ヘアメイク=山田みずき