表情や動きひとつで、音楽の聴こえ方が変わることを実感

――「黒猫チェルシー」としては、今年4月にベストアルバム『Cans Of Freak Hits』をリリースし、バンドとして5年間の節目がついたと思いますが、今後の目標は?

 ベストアルバムに収録されている「サニー」という曲があるんですが、この曲を作ったことでバンドが一皮剥けたというか、次のステップに行けたという感じがあったんです。それで今、バンドとしていちばん調子も良くて、今のこのムードを詰め込んだ音源をリリースしたい気持ちがありますね。それでバンド名だけ知っていても、楽曲を聴いたり、ライヴを観たりしたことのない人は結構いると思うんで、とりあえず今、とにかくたくさんの人にライヴを観てもらって、僕たちがヤバイことになっていることが伝わればいいなと思っています。

――メンバーが一皮剥けた、ということを具体的に教えてください。

 これまでは全員が、俺が俺がと前に出てきていたと思うんですが、「サニー」以降、バンドとして、メンバーそれぞれの役割分担が分かってきたというか、いい意味で力が抜けた感じになっているんです。そんななかでもしっかりパワーが出ていて、いい状態だと思います。

――渡辺さんはさらに俳優として活躍されていますが、岡本さんも今後も俳優をやってみたいという気持ちは生まれましたか?

 決して演技が巧いわけではないので、もしお話をいただけるのであれば、やらせてもらいたいと思います。今回、カメラの前に立つことで、バンドに持ち帰ることがたくさんあったんです。たとえば、ライヴでドラムを叩いているときの立ち振る舞いの大切さ。これまでは自然のままでいいや、と思っていたんですが、表情や動きひとつで音楽の聴こえ方が変わることを実感しましたし、勉強になりましたね。

岡本啓佑(おかもとけいすけ)
1990年10月21日生まれ。兵庫県出身。2007年、幼馴染とともにロックバンド「黒猫チェルシー」を結成し、09年1stミニアルバム『黒猫チェルシー』でデビュー。14年ベストアルバム『Cans Of Freak Hits』をリリース。カルチャーWEBマガジン「NeoL ネオエル」に料理コラム「男子厨房に立つ」が連載中。

『日々ロック』
高校時代、友人の依田(岡本啓佑)らとバンドを結成した日々沼(野村周平)は卒業後、上京して伝説のライヴハウスで活動し始めるが、客は集まらず。そんな現実のなか、熱いライヴパフォーマンスを繰り広げる日々沼は、人気アイドルの咲(二階堂ふみ)と出会う。
(C)榎屋克優/集英社 (C)2014「日々ロック」製作委員会
2014年11月22日(土)より全国ロードショー
http://hibirock.jp/

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2014.11.21(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央