46歳で子宮頸がんになり子宮を全摘→5年後の再発→再々発で今度は全身に…古村比呂(59)が忘れられない“1枚の写真”「明らかに膿んでいるような状態で変色も…」〉から続く

  現在NHK BSで再放送中の朝ドラ『チョッちゃん』でヒロイン・蝶子を溌剌と演じた俳優・古村比呂さん(59)は、13年もの間がん闘病を続けている。苦難のなかにありながら、前向きでいることを忘れない彼女の原動力にせまるインタビュー(全3本の3本目/はじめから読む)。

――少し遡りますが、46歳で広汎子宮全摘出術を受けて以来、今もなお悩まされ続けている合併症「リンパ浮腫」について教えていただけますか?

古村比呂(以下、古村) 子宮や卵巣など婦人科系のがんによる摘出手術をする際には、転移を防ぐためと転移のチェックも兼ねて鼠蹊部のリンパ節も一定数取るんです。するとその影響でリンパ液が滞ってしまい、手や脚にむくみが出てきてしまうんですね。これが「リンパ浮腫」と呼ばれる合併症です。

「腫れやむくみが出て、左半身全体に常にラップをまとっているような感覚」

――いつ頃から症状が出はじめたのでしょうか。

古村 私は手術から1年経ったあたりから症状が出てきてました。左脚がパンパンに腫れて、歩くことも困難になってしまって。脚をきつく締める弾性ストッキングを穿くことでどうにか日常生活を送ることができるのですが、現在は他にも目鼻の内側や、口の内側など左半身のいろんなところに腫れやむくみが出てきます。左半身全体に常にラップをまとっているような感覚です。リンパ浮腫は、症状も出る場所も人それぞれなのですが、一度発症すると完治は難しいと言われています。私の場合、抗がん剤治療を受けると免疫が弱るのか、さらに出やすくなります。

――15年にリンパ浮腫の情報交流会を立ち上げ、現在は「一般社団法人HIRAKU がん・リンパ浮腫と共存」の代表を務められています。ご自身も闘病でお辛いなか、そうした活動を続ける原動力はどこにあるのでしょうか。

古村 単純に私が、1人でも多く同じ症状に悩む方と会いたいと思ったんです。私がリンパ浮腫を発症した頃は先生方もそんなに多くの症例を認識しておらず、調べても調べても情報が出てこなかった。少しでも情報を知りたいし、自分自身が良くなりたい。同時に、他の皆さんのお役にも立つことができれば嬉しいな、という思いです。

――そうして精力的に活動を続けられていた23年1月、57歳のときに4度目のがんが発覚してしまいました。

古村 19年2月の抗がん剤治療中断から4年が経とうというとき、PET検査で腹部傍大動脈リンパ節への再燃(再々再発)が見つかりました。もともと主治医から「完治することはない」と言われ、過度な期待はせずに現実を見ていこうと覚悟していたところだったので、過去3回のがんのときより心構えはできていたつもりでした。それでも、辛くなかったかといえば嘘になります。

2025.08.14(木)
文=佐野華英