この記事の連載
- 倉 悠貴インタビュー【前篇】
- 倉 悠貴インタビュー【後篇】
●稲垣吾郎との掛け合いが笑いを誘った『窓辺にて』
――そんな倉さんにとって転機となった作品は?
やはり『夏、至るころ』と、NHK朝ドラ「おちょやん」(21年)です。そこから、いろんな方に見てもらう機会が増えましたし、実際にいろんな仕事のお話をいただきました。
朝ドラは大阪で撮っていたので、家族もすごく喜んでくれたし、別に街で声をかけられることはありませんでしたが(笑)、反響はすごかったです。
それこそ、別の作品に入ったときも、いろんな役者さんやスタッフさんに、「(杉咲花さん演じるヒロイン)千代の弟役、すごく良かった」みたいなこと言ってもらいました。
――また、『街の上で』(21年)、『窓辺にて』(22年)と、今泉監督の映画にも出演。特に『窓辺にて』での(中年ライターを演じる)稲垣吾郎さんに絡む(高校生作家を演じる)玉城ティナさんの彼氏・優二は印象的でした。
あのシーンは、映画的に見ると「稲垣さんと玉城さんみたいな関係性もあるよな」と思うかもしれないけど、観客目線の倉 悠貴からすると、「その年の差の関係性はちょっとヤバいだろう」っていう気持ちもあるんですよ。
それを正直に演じただけですが、稲垣さんも僕が話しやすく促してくれたというか、独特の空気感を出してくださって、すごくやりやすかったですし、とにかく楽しかったですね。
――初めての現場(「his」)の監督さんから、何度も呼ばれるのは嬉しいことですよね?
個人的に、今泉さんの作品がすごく好きなので、声をかけていただけるのは嬉しいですね。今泉さんが書く脚本って、「え?」とか「あ!」とか、普通の会話のように、全部書いてあるんですよ。
それで撮影の1ヶ月前ぐらいに台本もらったら、すぐに全部頭に入れて、現場では何も考えないで出るぐらいの感じでいれば、会話になるなっていう気持ちでいますね。僕、セリフに追われると、なんか緊張しちゃうから。でも、今泉さん、最近は呼んでくれない気もしますね……(笑)。
倉 悠貴(くら・ゆうき)
1999年12月19日生まれ。大阪府出身。19年にドラマ「トレース~科捜研の男~」で俳優デビュー、20年公開の池田エライザ初監督作品『夏、至るころ』では、映画デビューにして初の主演を果たす。その後も『衝動』(21年/土井笑生監督作)、『OUT』(23年/品川ヒロシ監督作)の主演作のほか、『コーポ・ア・コーポ』(23年)、『市子』(23年)など公開作が続く。
『こいびとのみつけかた』
いつも妄想を膨らませている植木屋の青年トワ(倉 悠貴)は、コンビニで働く園子(芋生悠)に恋をする。どうしても彼女と話したいトワは、木の葉をコンビニの前から自分のいる場所まで並べて彼女を誘い出すことに。園子もまた廃工場に暮らし、奇妙な創作物を作っている風変わりな女性だった。独特の会話で幸せな世界を築いていく2人だったが、園子にはある秘密があった。
http://koimitsu.com/
(C)JOKER FILMS INC.
10月27日(金)より、新宿シネマカリテほか、全国ロードショー
<衣装クレジット>
シャツ 47,300円、パンツ 61,600円/BARENA/三喜商事
その他 スタイリスト私物
三喜商事
所在地 東京都港区北青山2-14-4 The ARGYLE aoyama 13
電話番号 03-3470-8232
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2023.10.13(金)
文=くれい響
撮影=釜谷洋史
ヘア&メイク=NOBUKIYO
スタイリスト=カワセ 136