この記事の連載

 ヒロインの弟役を演じた朝ドラ「おちょやん」や池田エライザ監督作などで注目を浴びた倉 悠貴の主演最新作『こいびとのみつけかた』が公開。チャラ男から繊細な青年まで、幅広い役柄を演じ切り、映画ファンや深夜ドラマファンから注目を浴びている彼の演技論なども語られる<後篇>


●チャラ男から繊細なキャラまで演じ分ける

――『窓辺にて』(22年)の優二役にも繋がりますが、『うみべの女の子』(21年)での先輩や『KAPPEI カッペイ』(22年)での同級生など、チャラめな茶髪・金髪キャラを演じる際に、あえて心がけていることは?

 もう、めっちゃ無理してますよ(笑)。だから、金髪とかビジュアルから変えるときに、自分の気持ちを切り変えるようにしています。そうやって、私生活から入り込んで、そのキャラでいると、面白いことに職質されたりするんですよ!

 そのテンションで、ずっと現場にいることもあって、前半は無理していても、後半はかなりやりやすくなりますね。あと、テンションを上げるため、普段より喋るようにしたり、若いノリでいるんですが、そのまま地元に帰って、友だちと遊んだりすると、「お前、何か残ってるよ」と、すごく嫌がられます(笑)。

――金髪姿であっても、『スパゲティコード・ラブ』(21年)の推しのアイドルとの決別を誓うUber Eats配達人のように繊細なキャラも演じられています。

 撮影期間がめっちゃ短かったですし、ほとんど誰とも会わない役なんですが、役作りのために、実際Uber Eatsのバイトをしました。

 「商品をピック(アップ)するために、お店の中にカバンを持って行けない」とか、意外と細かいルールがあって、「なるほど、やってよかった!」と思いました。あと、アイドルを追いかける設定もあまり分からなかったのですが、恋人だと思うように頑張りました(笑)。

 オムニバスの一本で、そこまでバックグラウンドが見える役ではないので、台本の最後に「めっちゃ泣く」みたいなことが書いてあったときは、「泣けるかな?」とか思っていましたが、自分なりにキャラを作り上げていったら、泣けました。満島ひかりさんとの共演も楽しかったです。

――続いて、『樹海村』(21年)、『N号棟』(22年)、『禁じられた遊び』(23年)などのホラー映画において、今どきな若者キャラを演じるときは?

 撮影自体は、アクション映画の現場にいるみたいだし、普通に明るいし、すごく楽しくやっています。ただ、観ている人を怖がらせるバリエーションを作っていくのが難しいですね。

 お客さんが登場人物と照らし合わせることで、登場人物のリアクションで驚いたり、怖くなったりすると思うし、正直エンターテイメントの部分もあるから、「バリエーションがほしい!」と、毎回悩みながらやっています。幽霊自体も見えないので、お芝居のテクニックも必要だと思いますし、難しいですね。

2023.10.27(金)
文=くれい響
撮影=釜谷洋史
ヘア&メイク=NOBUKIYO
スタイリスト=カワセ 136