●深夜ドラマ「犬と屑」でも主演
――深夜ドラマの話もお聞きしますが、まずは『真夜中乙女戦争』の二宮健監督が演出されたMBSドラマ「生き残った6人によると」。ショッピングモールを舞台にした群像劇で、入江神を演じられました。
初めてご一緒した二宮監督は、かなり独特な感性を持たれた方でしたね。映画のサンプリングが多くて、「この映画見たことある?」という流れから、「この映画の、このシーンの、このテンションでやってほしい」というかなり演出がありました。
みんなが集まって話す座り位置が『ブレックファスト・クラブ』だったり、エスカレーターで上がっていくときの指の動きも『Shall we ダンス?』だったり……。髙石あかりさんと2人で喋る回では、「『ソーシャル・ネットワーク』の主人公ぐらい早口で喋ってほしい」と言われましたが、難しかったです(笑)。
――続いて、同じMBSドラマで、初主演となった「犬と屑」。これまでに自尊心が低く、陰のある桜庭陽真というキャラを演じられたうえ、『うみべの女の子』とは異なる石川瑠華さんとの共演シーンも印象的でした。
確かに主演ではありましたが、そこまで意識はしませんでした。ただ、僕以上にドラマ現場の経験が少ない年下のキャストもいたので、言葉で伝えるというのではなく、できるだけ演技しやすい現場になることを心がけました。なんかTikTok世代というか、現場も盛り上がっていましたね。
役柄的には後半になるにつれ、真相が明らかになるキャラなので、逆算して芝居をするというか、なかなか重い話のなか、割とコミカルに見せつつ、どこか伏線のような裏の顔みたいなのも、ところどころ見せていけたらいいなということを監督と話し合いました。割と苦なく、無理なくできた感じですね。あと、石川さんは共演回数も多いので、すごく信頼していますし、一緒に芝居しやすくて楽しいです。
――そして、最新主演映画『こいびとのみつけかた』では、運命の女性と出会う植木屋で働く主人公・トワを演じています。同じ前田弘二監督&高田亮脚本による『まともじゃないのは君も一緒』にも出演されたときに、出演オファーがあったのですか?
そんなことはなく、クランクインの2ヶ月前ぐらいに突然オファーをいただきました。初めて読んだのは第3稿で、「これはメロドラマである」っていう始まり方が好きで、すごく読みやすいし、面白いんですけど、なんかちょっと心が軽くなるような感じがしたんです。
そして、「これは、きっといい映画になる」という思いもあり、「是非やらせてください!」と言ったことを覚えています。
2023.10.27(金)
文=くれい響
撮影=釜谷洋史
ヘア&メイク=NOBUKIYO
スタイリスト=カワセ 136