●監督2作目にして又吉直樹のエッセイを映画化

――そして「玉田企画」でさまざまな作品を上演するなか、2017年には内田英治監督のショートムービー「シェアハウス」に脚本・出演者として参加。それを機に映像業界に進出されます。

 舞台を見に来てくださった内田監督に「今度脚本を書いてくれないか?」と声をかけていただいたのがきっかけです。もともと映画が好きでしたし、いつか映画を作ってみたい、という思いみたいなものはどこかにあったので嬉しかったですね。

――ご自身にとって、転機となった作品は?

 映画監督としての1本目の『あの日々の話』です。16年に「玉田企画」で上演した舞台の映画化ですが、その1年後ぐらいに、その舞台に出演していた山科圭太という俳優から、「一緒に映画化しない?」と言われたのがきっかけです。彼はもともと監督志望だったことで、知り合いのスタッフを紹介され、自主映画感覚で作り始めたんです。でも、実際に公開され、自分の演劇を見たことのない人も観てくれ、しかも喜んでくれたことで、自分の感覚的にも世界が広がった気がしました。そして、その後の縁がたくさん繋がっていきました。

――20年公開の2本目の監督作『僕の好きな女の子』は、又吉直樹さんの恋愛エッセイを原作に、渡辺大知さん、奈緒さんといったキャストで映画化されます。

 このときも舞台を見に来てくださったプロデューサーさんに声をかけてもらったのがきっかけです。以前から又吉直樹さんが書かれる世界観が好きでしたし、2作目で普段テレビや映画で見ていた人たちと一緒に仕事ができたことは、とても光栄でした。

2022.12.23(金)
文=くれい響
写真=鈴木七絵