この記事の連載
◆『真夜中の訪問者 -ハトリアヤコ作品集-』ハトリアヤコ
若き日の心残りが、意外な形で社会人になった通山の前に現れる表題作の「真夜中の訪問者」をはじめ、過去に発した言葉が長い時を経てブーメランのように自分に返ってきた日の心のざわめきを描いた「カタツムリ溶かす」、OLと宇宙人の不思議で温かな交流を描いた「日常ポリッジストーリー」など、読めばモヤモヤが晴れる7編を収録した著者の初単行本。
「思ったことをうまく話せない人たちのための物語。表題作の見開きページは素晴らしく、忘れがたいです」(鶴谷さん)
『真夜中の訪問者 -ハトリアヤコ作品集-』ハトリアヤコ
KADOKAWA 814円 全1巻
鶴谷香央理(つるたに・かおり)さん
マンガ家
『おおきな台所」でデビューし、同作で第52回ちばてつや賞準大賞を受賞。初の単行本『メタモルフォーゼの縁側』(KADOKAWA)でも数多くの賞を受賞している。
◆『生活保護特区を出よ。』まどめクレテック
1945年、大戦により荒廃した日本は、福祉と治安維持のために復興都市「新都トーキョー」と生活困難者のための「生活保護特区」を制定。2018年、トーキョーに住む高校生・フーカの元に特区行きの通知が届く。それまで、何となくここで生きていくと思っていた彼女だったが……。
「貧困、差別、格差、そこから生まれる独自の文化。初連載にして骨太なこの物語には、現在の日本と通底する部分があります。特区で暮らすフーカがどう変わってゆくのか見届けたいです」(山脇さん)
『生活保護特区を出よ。』まどめクレテック
リイド社 各800円 既刊2巻
山脇麻生(やまわき・まお)さん
ライター・編集者
マンガ誌編集を経てフリーに。各紙誌でコミック評およびコミック関連記事を執筆。インタビューや食、酒、地域創生にまるわる取材も手がける。
CREA夜ふかしマンガ大賞
10位~1位までを発表!
2022.10.25(火)
Text=Mao Yamawaki
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