クラフトビール工場でサステナブルに出会う

 さまざまなサステナブルな取り組みが息づいているオーストラリア。思わぬところでも、それを実感できます。

 国内に500以上のクラフトビール工場があるといわれる、ビール天国のオーストラリア。シドニーの町工場が集まる一角でこわだりのビール造りを手がける「バッチ・ブリューイング」は、2013年に創業した地元密着の醸造所です。

 醸造所内にはビアバーも併設していて、毎日10時から20時まで個性豊かなビールを味わえます。

 ちなみにビアバーといっても、手作り感いっぱいのカウンター席のみ。

 その奥には醸造タンクが鎮座し、出来立てビールが詰まった樽を車に積み込むスタッフの姿も。ビール工場内で飲む、という珍しい体験ができます。

 使用する素材もオーガニックにこだわり、サステナブルな農業を実践している小さな生産者さんのもの。

 そしてユニークな取り組みが、My ボトルならぬ “My 缶” を購入すると、その場でビールを詰めてくれるところ。プレス機でしっかり缶に蓋をして、鮮度を保ちながら使い捨ても削減できるというアイデアです。

 さて、せっかく訪れたからには、出来立ての生ビールをその場で味わいたいもの。

 提供するドラフトビールは日替わりで毎日6種。ほかでは飲めないような個性的な一杯も用意されています。6種すべての飲み比べも可能で、ビール好きにはこれが断然おすすめ。

 創業当初からさまざまなビールを作ってきた「バッチ」。そのレシピは300以上もあるといい、斬新な新作も続々と誕生。

 なかには〈クレームブリュレ・ペストリースタウト〉など、遊び心あふれるものも。試してみると、焦がしたカラメルやプリンの風味がして確かにクレームブリュレ……。

 「こんなビールはじめて!」というワクワク体験を楽しめます。

 地域密着でやっているので、購入できるのはシドニーが中心。シティのダーリング・スクエアにもビアバーがあり、こちらはスタリッシュな空間で味わえます。

2022.06.20(月)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵
協力=オーストラリア政府観光局