美術スタッフのこだわりを演じた『劇場霊』

――『スキマスキ』では映画初主演を務めましたが、かなり倒錯したラブコメというジャンルなうえ、主人公のヘイサクはこれまでの町田さんのイメージを裏切るおバカな役柄だったと思います。かなりの挑戦だったと思いますが、気持ち的にはいかがでしたか?

 初主演ということで、最初「僕でいいのかな?」という気持ちが強かったのですが、オーディションで選んでいただいたので、一生懸命頑張って、ヘイサクを演じたいと思いました。原作モノということで、監督や共演者の方といろいろ相談させていただきながら、挑戦することができましたが、今まであそこまでバカになって、役を演じることもなかったですし、逆にあそこまで自由に演じても許される役だったので、とても楽しかったです(笑)。現場では「次はどんなバカなことをしようか」ということばかり考えていましたし。それまで演じることに、どこか恥じらいみたいなものがあったと思うんですが、開き直って演じることを教えてくれた作品かもしれません。

――最新出演作『劇場霊』では、事件に巻き込まれる舞台の美術スタッフ・和泉浩司を演じられたわけですが、役作りについて教えてください。

 中田(秀夫)監督とはいろいろお話させていただいて、そのなかで浩司のバックボーンみたいなものを作ってから、撮影に入ることができたのが大きかったです。また、スタッフさんというか裏方さんの役なので、僕がこれまで舞台などでお世話になったスタッフさんの立ち振る舞い、たとえば常に周りや細かいタイミングを見ている感じとか、そういったことを思い出したりもしました。あと、人形に対して思い入れのある、こだわりの強い役でもあるので、人形に触るときの手つきなど、細かい動作も気を付けて演じようと思いました。

――初めてのホラー映画ということや、実際には動かない人形を前にした演技など、苦労はされましたか?

 そうですね。最初に台本を読んだときに、「どうしよう?」と思ったんですが、襲いかかってくる人形の動きとか、かなり想像を膨らませて演じないといけない部分が多いですし、実際に現場に行ってみないと分からないところが多かったかもしれません。でも、中田監督が現場で「このシーンは、このくらいの怖さで!」という細かい指示をしてくださったので、それに応えようと必死に演じさせていただきました。

2015.11.20(金)
文=くれい響
撮影=深野未季
ヘアメイク=CHIKA KIMURA
スタイリスト=三島和也(Tatanca)