音楽好きに映画を好きになってもらいたい
――11年の『見えないほどの遠くの空を』では森岡龍さんや前野朋哉さんなど、俳優活動とともに、映画制作もしている俳優たちと共演しましたが、彼らとの出会いも大きいのでは?
『色即~』の撮影で森岡龍くんと出会えたことは自分にとって大きいことで、とても尊敬しています。一緒にDVDを見たり、世間に発表していない自主映画を一緒に作ってもいるんです。僕って、どこかでライバル意識もあってか、同世代のバンドマンや役者と話すのが苦手なんですが、森岡くんは役者仲間というより、趣味の合うお兄さんという感じですし、今回、こうやって『モーターズ』という映画を撮ったことに確実に繋がっていると思います。
――朝ドラ「カーネーション」「まれ」をはじめ、CM「日経電子版」など、俳優・渡辺大知としてのこだわりはありますか?
映画やドラマ、CMといったメディアに出るときはあまりこだわりがなくて、映画の面白さや映画館の素晴らしさを伝えられる人間になりたい気持ちがあります。あとは、まずは多くの人に音楽を好きになってもらいたいし、音楽を好きになった人には映画館に来てほしい。そんな立ち位置の人になりたいと思います。役者として呼ばれる場所は問わないし、面白い現場はどんどん経験したい。同じ映像でも、映画は観たい人を一箇所に集めて見るもので、CMは意識せずに見られるうえ、考える時間を与えない強制的なメディアという違いも面白いと思いますね。
2015.11.06(金)
文=くれい響
撮影=榎本麻美