コミックエッセイ『今日、地震がおきたら』が、発売から2カ月で重版を繰り返す反響を呼んでいる。著者のアベナオミさんが描いたのは、東日本大震災発生から3週間のリアルな日々と被災生活。1歳児を抱えていた当時の心境、本作にかけた思いをうかがった。インタビュー【後篇】を読む

※記事内には震災の状況や、津波に関する記載があります。ご注意ください

アベナオミさんインタビュー【後篇】を読む
​​》被災者による実録日記コミック『今日、地震がおきたら』の「3月12日」を読む


東日本大震災が子どもたちにとって遠い存在になっている

――東日本大震災から今年で15年が経ちます。ですが経験された方にとっては決して古びるものではなく、癒えないこともあるかと思います。当時のことを描こうと思われたきっかけのようなものは、あるのでしょうか。

アベナオミ(以下、アベ) やっぱり、子どもたちです。東日本大震災が彼らにとって遠い存在になっている。当時1歳だった長男が高校生になったとき気づいたのが、「義務教育の子たち、みんな震災後の子どもなんだ」ということ。生まれる前のことはやっぱり、昔のことと思ってしまう。私もそうでした。宮城県沖地震(※)の7年後に私は生まれましたが、どこか「大昔のこと」という意識で宮城県で暮らしてきて。小学校などで必ず、あの地震を教訓として防災教育を受けるのに。

※宮城県沖地震 1978年に仙台市域で発生したマグニチュード7.4の地震。死者16人、重軽傷者10,119人、住家の全半壊が4,385戸という被害を出した。

――体験して記憶に残っていないと、どうしても自分ごとには考えにくいですよね。

アベ だからそろそろ、描いておかなきゃいけないかなと。ただ防災を啓蒙するフェーズから、語り継いでいく時期になったと思っています。

――「語り継ぐ」にしても、どんな形にするのかで随分悩まれたとか。漫画にするにしてもフィクションにするか、ドキュメント的にするのか。

アベ はい。私は震災後に防災士の資格を取ったのですが、防災セミナーで震災に関する講演をするようになって感じるのが、時系列を伝える難しさです。何がどんな風に起こっていったか。また同時に「どんな空気感で生活していたのか」は、伝わりにくい。水道は何日間止まりました、何日後に電気がつきました、という話では「へえ」で終わってしまう。うちの子からもたまに「電気は何日止まったの?」なんて聞かれますが、「3日間だよ」と答えても、そこで終わり。自分の生活とリンクして考えてもらいにくいんです。

――〇日間水が出ない、電気が使えないってどういう生活になるのか、どんな気持ちになるのか。そこまで想像して考える人は少ないでしょうね。「今日、地震がおきたら」はそのあたりを知るヒントとして、実に好適な本と思ったんです。

アベ 当時どんな状況の中で、どんな思いで暮らしていたか、読んで分かってもらえるものを作りたいという気持ちがありました。子どもたちが当時にタイムスリップする……なんて設定も考えてみたんですよ。試行錯誤していたら、iPhoneから当時のメモが出てきたんです。

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