拱北でのリーズナブルなお楽しみといえば?
拱北に来るたびに、つい立ち寄ってしまうのが、中国系ファストフードのチェーン店、「真功夫」。マカオにはないが、中国本土、とくに広東省では人気の店だ。ロゴマークに描かれているのは、トラックスーツ姿に鋭い目つきの男性。どうみても「死亡遊戯」のブルース・リーなのだが、許可は得ていないようで、過去にブルース・リーの親族から肖像権違反で訴えられたこともあるのだとか。
キャッチコピーは「栄養還是蒸的好(栄養をとるなら蒸したほうがいい)」。その通り、メニューは蒸した鴨肉にスペアリブ、茶碗蒸しと、蒸し料理のオンパ レード。セットを選べば、野菜の小鉢や漢方スープがついてきて、定食なみのボリュームになる。ポップな雰囲気の中に八角の香りが漂う店内は、ちょっとした異空間だ。
ゲートのすぐ近くには、食料品市場もある。マカオにある市場「紅街市」のように整然とした感じはなく、こちらはちょっとごちゃごちゃとした雰囲気。肉や野菜、果物など食料品から衣類やスマートフォンまで、ありとあらゆるものが売られている。2013年ごろまでは、鶏を生きたまま売る鶏肉店も並んでいた。
ゲートから徒歩圏内をぶらっとするだけで、マカオとは違った異国情緒が楽しめる拱北。時間がそれほどないときには、ゲートに隣接するショッピングアーケー ドを歩くのもおすすめだ。ネイルサロンは接客態度こそぶっきらぼうだが、値段は格安だし、仕上がりもなかなか。歩き疲れたら足裏マッサージをして、マカオへ帰るのもいい。
中国本土へのプチ旅行は、午後に思い立って出かけても十分間に合う。ただし、週末はゲートが長蛇の列となるので、平日がおすすめだ。
芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn
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トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
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2015.10.06(火)
文・撮影=芹澤和美