世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第102回は、マカオの対岸にある中国の島・横琴島への小旅行を、芹澤和美さんがレポートします!
牡蠣パラダイスを求めて海峡を越える
湾や海峡など、水辺の向こうに別の文化があるシチュエーションは、なぜか胸がワクワクする。たとえば、ボスポラス海峡を挟んで東にアジア、西にヨーロッパが広がるイスタンブールの旧市街。そして、マカオのコロアン村。対岸には中国・広東省の横琴島があり、その距離は、海沿いに並ぶビルがはっきりと見えるほどの近さだ。
コロアン村を歩くたびにワクワクしながら眺めていた横琴島を訪ねたのは、2012年のこと。マカオから中国へ渡る出入境ゲートは3か所あり、それぞれ、徒歩、小型船、シャトルバスとアクセスが異なる。横琴島に一番近いのは、シャトルバスで入るルートだ。
右:中国側のゲート「横琴口岸」は、マカオ最北にあるゲート「拱北」に比べると人も少なく、イミグレーションもガラガラ。あっという間に入境手続き終了。
横琴島を訪ねた目的は、オイスターソースをテーマにした取材をするため。マカオは中華料理に欠かせないオイスターソースのルーツがある場所。そして隣にある横琴島は、その材料となる牡蠣の特産地。マカオの友人からも「こんどの週末、牡蠣を食べに横琴島まで行ってくるよ」という話はたびたび聞いていた。そこで、牡蠣の養殖場を訪ねてみようということになったのだ。
右:養殖場のスタッフが海面下から取り出してくれたのは、大きな牡蠣。
養殖場のすぐ近くには、牡蠣の処理場もある。といっても、屋外で殻を洗い、身をはずすだけだから、設備はいたって簡素。山のように積み上げられた牡蠣は次々と殻を剥かれ、バケツに入れてレストランに運ばれる。
右:殻を剥いた牡蠣をバケツに入れて、バイクで運ぶ。日本では考えられない、大ざっぱぶり。
2015.09.08(火)
文・撮影=芹澤和美