中国にあるのにマカオ大学とはこれいかに?

図書館の前には、「澳門(マカオ)大学」の堂々たる表示が。

 横琴島が開発され、新たに誕生したのが、マカオ大学の新キャンパス。名実ともにマカオを代表する大学で、以前はマカオのタイパ島にキャンパスがあったが、2014年、横琴島に移転した。ここは中国国内とはいっても、法律はマカオの制度が適用されているし、中国のように、インターネット閲覧の規制もない。住所もマカオで、キャンパス周辺は堀で囲まれ、中国本土側からは入れないようになっている。

 マカオとキャンパスは海底トンネルで通じていて、車や路線バスで簡単に行き来ができる。通常、マカオと中国の往来には出入境ゲートでの手続きが必要なのだが、マカオから行くには、パスポートも要らないし、なんら手続きも必要ない。マカオに滞在していたある日のこと、思いつきでマカオ大学行きのバスに乗ると、あっという間に到着してしまった。

広大なキャンパスは池まであってリゾートのよう。

 キャンパスに着いて驚いたのは、その広さ。建物がモダンなのは新しいのだから当然としても、とにかく広い! 敷地内には、学部だけでなく、マカオ最大の図書館や各種研究所、球場や学生たちの寮などもあって、まるでひとつの街のよう。

整備された通りには名前もついている。学生たちの建物間の移動は自転車。キャンパスというより街の中を歩いているような気分。

 学生数は約7000人。この敷地規模の大学にしては少なく、周辺にはカジノのネオンもないから、勉強に集中できそうだ。聞こえてくる言葉は北京語に広東語、英語にポルトガル語と、インターナショナル。キャンパス内には、マカオでもお馴染みの香港の巨大コーヒーチェーンと大きな中華レストランもあった。

規模のわりに学生数が少ないので、学食代わりのカフェやレストランでも、席を奪い合うことはなさそう。カフェの中でもいろいろな言語が飛び交っていた。
左:マカオ最大の図書館の中は、インテリアも洗練されモダンな雰囲気。
右:キャンパスを見守るのは、儒家の始祖、孔子の巨大な像。

 リゾートのように整備され、広くて建物も立派なマカオ大学。観光地ではないが、今のところ、敷地内の見学もできるし、図書館も自由に入ることができる。人口密度が高いマカオを離れて、フレッシュな空気を吸いに、足を延ばしてみるのもいいかもしれない。

池沿いの散策コースといい、気持ちのいい水辺といい、観光地ではないけれど、ここは穴場。アカデミックな雰囲気も新鮮だ。

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn

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2015.09.08(火)
文・撮影=芹澤和美