世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第50回は、芹澤和美さんが列席したマカオの親友たちの結婚式をリポート。

結婚式の当日、午前0時に前夜祭がスタート

中国伝統の儀式あり、華やかなパーティーありの、マカオの結婚式へ。

 取材やプライベートで幾度も旅しているマカオ。この街を訪ねるたびに、いつも家族ぐるみで私を温かく迎え、あれこれと世話を焼いてくれる親友がいる。1997年に初めて訪れたマカオで、道を尋ねて親しくなったポリスマン(ちょっと日本では考えられないけれど)と、彼のガールフレンドだ。そんな彼らが、めでたく結婚することに。私も10年来の友のウエディングパーティーに参加するべく、マカオへと向かった。

 中国文化とポルトガル文化が入り混じるマカオでは、教会式や中国伝統式など、結婚式のスタイルもさまざまだ。新郎のアントニオ(中国広東省出身マカオ育ち)と、新婦のオリビア(マカオ生まれマカオ育ち)が選んだのは、中国伝統スタイルと現代版マカオスタイルがミックスしたウエディング。

 招待状によると、パーティーは日曜の夜。だが、オリビアいわく、「土曜の夜11時ごろ、我が家に来てね!」。嫁ぐ前夜、しかも深夜に花嫁の家に遊びに行くなんてお邪魔じゃないの? ……そう思いながらオリビアの家を訪ねると、そこは結婚式前夜祭に向けて準備の真っ最中。中国では結婚式の前夜に、新婦の家に女友達が集って祝うのが、習慣なのだそう。

テーブルの上に用意されたのは、裁縫道具や鏡など。友人たちが集う和やかな雰囲気の中で、前夜祭は始まった。

 深夜0時をまわって始まったのは、伝統的な儀式。入浴して体を清めた寝巻姿の新婦の髪を、親戚の女性がそっと櫛で梳かし、整えてゆく。新婦の前のテーブルに並ぶのは、お線香や鏡、裁縫道具やお菓子など。なんとも厳かで美しい、嫁ぐ前のひととき。

このとき、オリビアが着ていたのは、豹柄ピンクのパジャマ。が、儀式はあくまでもトラディショナル。

 一連の儀式が終わった後は、新婦のママが用意してくれた湯圓(ごま餡入り白玉団子)をご馳走になりながら、しばし、女同士でおしゃべり。そして深夜2時近くなった頃、結婚式用の伝統的な中華菓子の詰め合わせをお土産にいただき、この日は解散。新婦もゆっくり休んで明日(正確には今日)の結婚式に備えるのだろう……と思いきや、「明日の朝はセレモニーがあるから、また家に来てね!」とオリビア。美しくパワフルな花嫁と数時間後の再会を約束して、帰路についた。

お土産にもらった婚礼用の中華菓子。見た目もかわいらしくて、幸せも分けてもらった気分。

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2014.09.09(火)
文=芹澤和美
撮影=芹澤和美、西森純子