今、マカオでもっとも注目されるトピックといえば、名だたる5つ星ホテルのオープンラッシュだろう。それらホテルの多くは、コタイ地区と呼ばれる開発区に生まれている。かつて観光客が訪れる機会などなかった埋立地は、わずか数年の間に、アジア最大のリゾートエリアへと変化した。
2007年、コタイ地区に先陣を切ってオープンしたのが、「ザ・ヴェネチアン・マカオ・リゾートホテル」。オールスイートの客室(しかも3000室!)、併設する巨大カジノや、350以上のショップを擁するショッピングモールは、日本でも大きな話題となった。実際に泊まってみると、宿泊したゲストルームからフロントまで、なんと歩いて15分。オープン当初はハウスキーピングも館内で迷子になっていたというから、そのスケールの大きさがうかがえる。
「ザ・ヴェネチアン・マカオ・リゾートホテル」とアジア最大級のDFSを挟んで繋がるのは、「フォーシーズンズホテル・マカオ・コタイストリップ」。コロニアルイエローの外観とリゾートの雰囲気を醸し出すプールは、まさに都会の中のオアシスを感じさせる。コタイ地区にステイしていなくても、ぜひ足を延ばしてみたいのが、「ウィンドウズ・レストラン」のアフタヌーンティー。中華点心とヨーロピアンスイーツが盛りだくさんの贅沢なティータイムは、マカオならではの楽しみだ。
右:ウィンドウズ・レストランのアフタヌーンティー(14:30~17:30)は、ボリュームがあるので遅いランチ代わりにも
大型カジノリゾートの「シティーオブドリームス」が擁するのは、ラグジュアリーホテルの最高峰、「グランド ハイアット マカオ」、優雅で落ち着いた雰囲気の「クラウンタワーズ・マカオ」、カジュアルでポップな「ハードロックホテル・マカオ」の3ホテル。リゾート内には20のレストランとバーがあるが、選択に迷ったのなら、ぜひ「グランド ハイアット マカオ」のシグネチャー・ダイニング、「ベイジン・キッチン」へ。“ショー・キッチン”を掲げるこのレストランは、薪で鴨を焼き上げる厨房や飲茶専用の厨房など、キッチンが4つのスペースに分かれていて、食事だけでなく、空間も楽しめるようになっている。ディナーに軽めのコースが用意されているので、フライトで疲れている日や、遅い時間に到着した日にもおすすめだ。
右:「グランド ハイアット北京」のレストラン、「メイド・イン・チャイナ」をマカオ流にアレンジした「ベイジン・キッチン」
「ギャラクシー・マカオ」は、2011年にオープンしたリゾートエリア。マカオ唯一の日系ホテル「ホテルオークラマカオ」、コテージヴィラを持つ「バンヤンツリー・マカオ」、香港資本の「ギャラクシー・ホテル」が並ぶ。なかでも、全客室にリラクゼーションプールを備えた「バンヤンツリー・マカオ」は、リゾート派にもおすすめしたいホテル。もちろん、バンヤンツリー・スパも併設されている。
コタイ地区で一番新しいリゾートエリアが、2012年4月にオープンした「サンズ・コタイセントラル」だ。マカオ初進出のラグジュアリーホテル「コンラッド・マカオ・コタイセントラル」、「シェラトン・マカオ・コタイセントラル」のほか、コタイ地区で唯一のリーズナブルなホテル「ホリデイイン・マカオ・コタイセントラル」が名を連ねる。
今ではアジア最大級のリゾートとなったコタイ地区も、10年前までは、何もない埋立地。干潟でムツゴロウを採る麦わら帽子姿のおじさんがいるような、のどかな田舎だった。かつてないほどの大変貌を遂げたコタイ地区は今、“もうひとつのマカオ”の顔を見せている。
2012.12.13(木)