世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。
第206回は、芹澤和美さんがインドネシアの素敵すぎる島を訪ねました。
大昔の暮らしが息づく
精霊の島スンバ

1万数千もの島々が東西につながるインドネシア。数えきれないほどのリゾートがあるにもかかわらず、私はなかなか旅をする機会がなかった。
「きっとどこに行ってもツーリストでいっぱいでしょ」と誤解していたし、「近いアジアの島はいつでも行ける」という気持ちもあったからだ。
そんな私が話を聞くなり飛びついたのが、スンバ島。バリ島の約400キロ南東にある、手つかずの自然が残る島だ。

スンバ島は、オランダに支配される20世紀初めまで、島外との接触がほとんどなかった秘境の地。
今でも、「マラプ」と呼ばれる精霊信仰や伝統文化が連綿と息づき、交通手段には馬が使われている。

近年はサーフスポットとして知られつつも、一般のツーリストにはまだまだ無名なこの島にあるのが、「ニヒ・スンバ」。
「トリーバーチ」のファミリーだったクリス・バーチがつくったリゾートだ。

このリゾートの魅力は、ただ秘境のラグジュアリーリゾートという点だけではない。
島の生活向上に情熱を傾け、井戸を掘ったり、クリニックを開院したりするなどの活動に加え、スタッフの9割以上が地元島民を採用していることが、大きな特徴だ。
そんな島と共生するリゾートなら、ぜひ体験してみたい!
すぐにスケジュールを確保し、飛行機のチケットを手配した。

バリ島のデンパサールで国内線に乗り換え、スンバ島のタンボラカ空港まで約1時間。
エアチケットも購入し、ヴィラも予約し、ひと安心……ということろで、プチ事件勃発。
予約したガルーダ・インドネシア航空のバリ島発スンバ島行きのフライトが、この日にかぎってキャンセルになると、「ニヒ・スンバ」から連絡がきたのだ。

旅の予定は1日もずらせないから、同日にあるほかの航空会社の国内線を予約しなおすしかない。
慌てたけれど、ガルーダ・インドネシア航空よりいち早く「ニヒ・スンバ」から欠航の情報をもらえたおかげで、即、代わりの便をおさえることができた。
2019.04.16(火)
文・撮影=芹澤和美