世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。
第208回は、たかせ藍沙さんが、伝統ある湯宿の再生物語を綴ります。
新しいスタイルのお茶と
緑の中の足湯
![湯河原は海と山に挟まれた谷あいの温泉街だ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/9/-/img_a9829b0db0a0fca82de048ce1da62b0d292720.jpg)
東京から最短約1時間という好立地にある湯河原。近隣の熱海や箱根に比べて人も少なく、個人旅行に適した温泉町だ。
そこに、十数年野ざらしになっていた古い旅館がある。「富士屋旅館」だ。3年の歳月をかけた大修復を終え、2019年3月に息を吹き返した。さっそく湯河原へと行ってみた。
湯河原駅へはチェックイン時間よりも早めに着いたので、まずは駅から徒歩4分の場所にあるティースタンド「サ行」へ。新しいスタイルのお茶をいただくことができるカフェだ。
![「サ行」の建物の中央には木があり、木の下のテラスでもお茶することができる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/c/-/img_dcaa134fe08247c09a5901f0a3025dd4270592.jpg)
店名は、「茶」の読み方のひとつの「さ」と、オーナー2人がサ行から始まる名前だったというユニークないきさつなのだとか。
![テイクアウトスタイルなので、好きな場所を選んでお茶を楽しみたい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/e/-/img_9e64055136d321705addc683d438ffa6170073.jpg)
店内にはテーブル席、カウンター席、ベンチ席があり、テラスも建物中央と外側の2カ所にあるので、好きな場所を選んでお茶を楽しむことができる。
![左から煎茶豆乳ラテ、チーズクリーム烏龍、トロピカル烏龍。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/-/img_97c94aa1a53b4a5c71e678b082d1ce91148817.jpg)
メニューは、世界各国、日本各地のストレートティーのほかに、フルーツやチーズクリームを使ったアレンジ茶もあり、新感覚のお茶のおいしさと出会うことができる。
サ行
所在地 神奈川県足柄下郡湯河原町土肥1-16-6-1a
電話番号 080-4919-3829
http://sagyo.co.jp/
次に、駅の観光案内所で勧められた「万葉公園」へ。
![「万葉公園」には、駐車場から滝に繋がるトンネルがあって冒険気分も味わえる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/5/-/img_e5cc12270d002df62b1d706ccf8770b6204049.jpg)
ここは、温泉街の中心にある公園で、滞在先の「富士屋旅館」に隣接していて、歩いて行くことができる距離。
園内には万葉時代の古代建築を模した「万葉亭」や、万葉集の中で出湯を詠った唯一の歌を刻んだ、万葉歌碑等がある。駐車場では、毎週日曜朝に観光朝市も催されている。
この公園でのマストビジットは2カ所。「狸福神社」と「独歩の湯」だ。
![縁結びの「狸福神社」には赤い鳥居が並んでいる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/3/-/img_43449bad522484a2d19dce440a576b70393694.jpg)
前者は、傷ついた老狸が湯河原温泉で完治したという言い伝えにもとづく。その後、温泉に感謝した狸が人々の温泉を広めたとか。
![かわいいハート型の縁結びの絵馬は、公園入り口にある観光会館受付か、「独歩の湯」の料金所で買うことができる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/9/-/img_3948e0d90d81f7ef394349fe6822124a159985.jpg)
現在では縁結びの御利益があるとされていて、絵馬に願い事を書くことができる。
文豪・国木田独歩の名前が付けられた「独歩の湯」は、園内の西端にある足湯施設。
![「独歩の湯」では、足湯巡りを楽しみたい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/d/-/img_8dfb8919e078d68e0cc2023c236ca62d368093.jpg)
円形の施設内には9つの足湯があり、足つぼが刺激できたり、ジャグジーになっていたり。園内の緑に囲まれた足湯巡りを楽しむことができる。
![お湯はぬるめながら、じんわり温まってくる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/b/-/img_3b952220d46aa378fe3e841272ca7bf5479560.jpg)
入湯料300円には、サンダルの貸出が含まれているし、足を拭くためのタオルの販売もあるので手ぶらでも大丈夫。
公園自体は24時間入ることができるが、「独歩の湯」は季節によって営業時間が変わるので事前に確認を。
万葉公園 足湯施設「独歩の湯」
所在地 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上704
電話番号 0465-64-2326
http://www.yugawara.or.jp/dayplan/ashiyu.php
2019.05.21(火)
文・撮影=たかせ藍沙