結婚パーティーまでのプレイベントがすごい!

 いよいよ結婚式当日。朝になり、オリビアの家へ。集まったのは、オリビアの女友達と親族が30名ほど。ほかに、メイクさんにスチールカメラマンに、ムービーカメラマンまでいて、新婦のママも慌ただしく準備中だ。これから、新郎が「プロポーズをしに」やってくるのだという。

「ピンポーン」。チャイムの音とともに現われたのは、新郎のアントニオと、その友人の男性陣。家の中で待ち構えているのは、新婦オリビアの親戚と女友達たち。この後、玄関の扉をはさんで、即興のプロポーズ合戦が始まった。

新婦宅のドアを挟んで、チーム新郎とチーム新婦のかけあい。つい先ほどまでおとなしかった親戚のおばさんが、「そう簡単には嫁にやらないよー!」と、迫真の演技をしているのが微笑ましい。

(新郎) 新婦オリビアを僕にください!
(チーム新婦) そう簡単に嫁にやるわけにはいかないよ!
(新郎) 必ず幸せにします! 誓います!!
(チーム新郎) こいつ、本当にいいやつですから。僕たちが保証します!
(チーム新婦) いやいや、そう簡単には……。

 という掛け合いが、新郎組と新婦組に分かれて延々と行われる。新郎は「新婦を幸せにできるかどうか」を新婦の友達に試され、新郎は自分の友達にプロポーズをサポートしてもらう、というシナリオを演じているわけだ。なんとも、友達との絆が深い中国らしい風習。

 ようやくドアを開けてもらったアントニオ。だが、新郎は、新婦友人チームの企てた試練をクリアしなければ、新婦に会うことができない。この日、女性陣が用意したのは、腕立て伏せや、竹竿に括り付けられた紅包(ご祝儀袋)を、パン食い競争のごとく口でキャッチするゲーム。新郎は、数々の試練(パフォーマンス)をこなし、新婦友人の許しを得て、晴れてプロポーズすることができる。その間、新婦はずっと自分の寝室で待っているのがルール。

頭上で揺れる白菜に結びつけたご祝儀袋を口でキャッチするゲーム。新郎は、身体をはって、ようやくプロポーズができる。だから、タキシードでも足元はジョギングシューズ。

 プロポーズをし、全員の前で愛を誓った後は、親族ひとりひとりへ結婚のご報告。広東省からこの日のためにマカオ入りしたアントニオのご両親やお姉さん夫妻に淹れたてのお茶を渡しながら結婚の報告をし、ご祝儀をいただく。最後に、新婦オリビアのママから娘へ、翡翠のネックレスのプレゼント。さきほどまでの運動会のような賑やかな雰囲気から一転、ちょっとじんわりとした、温かな時間だ。

新郎新婦それぞれの親や兄弟ひとりひとりに結婚の報告。まるで中国映画のワンシーンのよう。

 新婦の家で一連の儀式を終え、ようやっと結婚が認められた(ことになる)二人は、真っ赤な相合傘で、お迎えの車へ。たくさんの花とリボンで飾った数台の先頭には新郎新婦が、続く車には友人や家族が乗り込み、街中へと出発。マカオじゅうをめぐり、各地で記念撮影をするためだ。

マカオじゅうを、この車で撮影ツアー。ポルトガル風情が香り、教会や石畳の通りなどフォトジェニックなスポットが多いマカオでは、撮影する場所に困らない。

<次のページ> スポットライトを浴びて子豚の丸焼きが入場!

2014.09.09(火)
文=芹澤和美
撮影=芹澤和美、西森純子