悠久の時を刻む古都の美 中世の街は美術館のよう
シェークスピアによって生み出されたロミオとジュリエットというスーパースターカップルによって、ヴェネツィアと並び世界的に有名な観光都市として知られるヴェローナ。今回の北イタリア芸術三都市を巡る旅においてもヴェローナは拠点と言ってもいいだろう。
歴史的にイタリアとオーストリアを結ぶブレンナー峠へと向かう鉄道網の終着点にあり、ヴェネツィアからもミラノからも新幹線や特急で約1時間から1時間半と交通至便な位置にある。夏ともなれば約3カ月にわたって古代ローマ時代の円形劇場で開催される野外オペラに世界中のオペラファンがつめかけ、その賑わいは実に華やかだ。まさに国際的な観光都市らしさに溢れている。
観光的要素を挙げれば枚挙にいとまがないが、ローマ時代の遺跡や中世の街並みの美しさが評価され、2000年にユネスコの世界文化遺産に登録されている。レストランやカフェ、美術館などの公共的施設の地下に行くと、当たり前のようにローマ時代の遺跡に遭遇するのも興味深い。
パドヴァやマントヴァのような世界に冠たる芸術遺産は存在しなくとも、燻した色合いのレンガ屋根が目を引く館や家々が至る所にある街並みを歩くのは楽しいもの。その高貴な美しさは、街全体がまるで美術館と言っても過言ではない。
ヴェローナを訪れたら、まずは街の中心にある「エルベ広場」と「シニョーリ広場」の間にそびえ立つ「ランベルティの塔」に昇ってみるといい。夕映えに照らし出された優雅な街並みを俯瞰すると、時空を超えてロミオとジュリエットのストーリーに描かれた典雅な情景や音楽が脳裏に浮かんでくるに違いない。
CREA Traveller 2026年冬号
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