ゴンザガ家の栄華と粋ルネサンス芸術の宝庫

 ヴェローナからも日帰りで観光できる距離にあるが、“都市に付属する小さな街”のような思い込みを真っ向から裏切ってくれるのが、“秘めたる芸術都市”マントヴァだ。ルネサンス期の優れた都市計画が評価され、2008年に世界文化遺産に登録されたことも大いに物語っているが、到底日帰りでは鑑賞できないほどの珠玉の美に溢れている。

 当主の居城であった2つの大宮殿をはじめ、建築的価値ある大聖堂や劇場など、都市計画プランの秀逸さも含め、一通り目にすれば達成感すら感じるに違いない。大公宮殿や大聖堂が位置する象徴的なソルデッロ広場に佇んでいると、今が21世紀であることをしばし忘れてしまうくらいの臨場感で重厚な石の建築物が迫り来る。

 この街がここまで芸術遺産に恵まれているのは、ひとえにルネサンス期にマントヴァを治めたゴンザガ一族の権力と栄華によるものだ。中でもフェデリーコ2世はラファエロの弟子であったローマ生まれの建築家・画家のジューリオ・ロマーノを重用し、夏の離宮「テ宮殿」の建築と一連の極彩色のフレスコ画を描かせた。

 また、街の三方が人工の湖に囲まれているという稀有な立地条件もこの街のユニークさを物語る。12世紀にガルダ湖から流れる川の水を堰き止めて造り出された湖が、ルネサンスの栄華を語り紡ぐ街をさらにドラマティックに、あたかも一枚の画のフレームのように美しく彩る。

 秋冬ともなれば湖に立ち込める霧が市内をも覆い、幻想的な光景が出現する。街の規模も都市景観のあり方も、まさにルネサンス期そのままに生き続ける世界遺産都市マントヴァ——。街の魅力をあらゆる角度から体感したい。

Palazzo Te(テ宮殿)

ルネサンス期にマントヴァを支配した一族ゴンザガ家の夏の離宮「テ宮殿」。生活空間であったいくつもの間の壁や天井に描き出された壮大なギリシャ神話のモチーフの美しさにおのずと心が満たされるのを感じることだろう。

所在地 Viale Te 13, Mantova
電話番号 0376 323266
開館時間 月、水~日曜 9:00~19:30、火曜 13:00~19:30
料金 15ユーロ
http://centropalazzote.it/en/fondazione-palazzo-te/
●入館は閉館1時間前まで

CREA Traveller 2026年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。