誹謗中傷の波をかき分け、犬との暮らしに癒されながらも戸惑い、泣く時は「計画的に泣く」。自分の感情と誠実に向き合い続ける紗倉まなさんに、年齢を重ねるなかで見えてきた生きづらさのほどき方を伺いました。
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容姿に対する誹謗中傷をかき分けて生きてきた

――小説『うつせみ』ではルッキズムをテーマにされていました。紗倉さんのように人前にでるお仕事をされていると、ルッキズムから完全に距離を置くことが難しいですよね。どうやってうまく向き合ってこられましたか?
正直、自分の顔や見た目は好きでも嫌いでもない、というフラットな状態なんです。
トレンドのルックスには当てはまっていないなとは感じていますが、美の基準ってうつろいやすいので、そこに付いていこうという気持ちやモチベーションが正直湧いてこないんです。

AV女優としてデビューしてから、ありとあらゆる誹謗中傷を受けてきたので変な耐性がついてしまい、クソリプや誹謗中傷のコメントをスクショして集めて図鑑のように揃え、眺めたりしながら分析をする程度には精神的な余裕をもてるようになりました。
あまり気にならなくなってきた、というのは事実としてあるんです。大量のクソリプを、かき分けて生きてきたので……。
容姿について何か言われても「あ、この人の好みじゃないのね」というマインドでやっています。その人の理論で言えば、この世にいる全員が可愛くて、この世にいる全員が可愛くないとも言えるわけで。
要するに容姿に纏わる誹謗中傷はその程度の価値しか持ち得ない、という認識でいます。
2025.07.05(土)
文=高田真莉絵
撮影=平松市聖