俳優、ミュージシャン、クリエイター、作家……いまをときめく方々に「日々自分らしくあるために」大切に読んでいるもの、聴いているもの、飲み、食べているものを伺う新連載。

 今回は、7月4日公開の映画『ババンババンバンバンパイア』で共演する吉沢亮さんと板垣李光人さんが登場。お気に入りの本と食べ物が、日々の気分や俳優活動にどのように作用しているのか。吉沢さんと板垣さんの感性や原点につながるお話を聞きました。

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【あの本】「多感な思春期に影響を受けた」(板垣さん)

 「江戸川乱歩の短編です」と最初に答えたのは板垣李光人さん。

「中学生の頃、朝読書の時間に短編を読みたいと思って、最初に短編集の『芋虫』を読みました。そこから中高生・高校生という多感な時期に、彼の作品を読んで過ごしたんです。彼の物語にある、物質に対する強い偏愛と執着みたいなものが、とても新鮮で面白いなと思いました」(板垣)

 古い時代の文体にしては読みやすいと感じた板垣さんは、他の江戸川乱歩作品も読んでいったという。江戸川乱歩作品は、耽美性と不気味さが交錯するギリギリの際どさが魅力。そうした独特の美学に触れて刺激を受けたとも。思春期に乱歩作品から受けた影響は、俳優として表現の根源につながっているそう。

「『鏡地獄』とか『人でなしの恋』とか、彼の短編集には基本的に危なっかしい人しか出てこないですよね(笑)。そんな登場人物たちにも生命力をすごく感じて、惹かれるものがあります」(板垣)

2025.07.04(金)
文=あつた美希
撮影=橋本 篤
ヘアメイク=吉沢:小林正憲(SHIMA)、板垣:KATO(TRON)
スタイリスト=吉沢:荒木大輔、板垣:伊藤省吾 (sitor)