【あの一皿】できたてのわらび餅に京都で感動!(板垣さん)

 食べるのはお好きですか、と聞くと、吉沢さんが「食は好きですね」と微笑み、板垣さんも笑顔で頷く。吉沢さんが板垣さんに、心に残る一皿について、「なんだろう、あります?」と振ると、板垣さんは、「京都の小料理屋さんでいただいた“わらび餅”です」と返答。目の前で作り、できたてを供するスタイルに魅了されたという。

「その場で熱しながら練ってわらび餅を作るんです。目の前で練りあげられていくなか、その時の香りとか湯気とか、だんだん形になっていくさまが印象的で。そして運ばれてきて食べた瞬間、ひとつのエンターテインメントだなと感動しました」(板垣)

 ほんのりあたたかくとろとろで、ひゅるりと喉をすべる、できたてのわらび餅。きな粉と黒蜜と共にいただく甘味に、五感すべてが歓ぶ時間。板垣さんの一皿の記憶が鮮やかに伝わってきます。

【あの一皿】香港で食べた激辛料理「水煮牛肉」が忘れられない(吉沢さん)

 一方、吉沢さんの“忘れられない一皿”は、香港で出会った激辛料理。

「香港で食べた料理で、確か『水煮牛』と書くような料理です。名前をあまり覚えていないのですが、すごく辛くて、でもめちゃくちゃ美味しくて!」(吉沢)

 取材中に調べていくと、その料理は「水煮肉片(シュイジューロウピエン)」や「四川風水煮」ともいわれ、食材を唐辛子や花椒などの香辛料や油と共に一緒に煮込む激辛料理。吉沢さんが出会ったのはそのひとつで、牛肉を使った水煮牛肉です。

「それまで辛いのはあまり得意じゃなかったんです。辛いのは“辛いだけだろ”と思っていました。でもその料理は汗がダラダラ流れるくらい激辛なのにめちゃくちゃ美味しくて。辛さの中に旨味を感じる、って初めて思った。香港でそれを食べてからは、辛いのが好きになりました(笑)」(吉沢)

 吉沢さんはそれ以来、同じ料理を日本の中華料理店でも探すようになり、メニューにあれば迷わず注文しているという。

「でも、香港で食べたのが一番美味しかった。あの味にはかなわないし、もう忘れられない。また香港に行って食べたいです」(吉沢)

 興味深いのは、それぞれが語る“食の記憶”が、ただの「味」ではなく、“香り”や“風景”、“そのときの空気”とともに心に残っていること。

 板垣さんにとってのわらび餅は、目の前で練られていく音や匂いまで含めたエンタメとして。吉沢さんにとっての水煮牛肉は、汗をかきながら食べる“激辛を超えた先”を知った、自身の味覚を変えた体験として鮮烈に。

 日々、俳優として表現に取り組むなか、ふとした瞬間に思い出すのは、どこかの街で出会ったふとした一皿だったり、以前に夢中で読みふけった一冊だったりする。そういうふとした記憶こそが、彼らの感性の栄養となっていくのだろう。

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吉沢亮(よしざわ・りょう)

1994年2月1日生まれ。東京都出身。近年の代表作は、『キングダム』シリーズ(19,21~24/佐藤信介監督)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(21,23/英勉監督)などに出演。ドラマは大河ドラマ「青天を衝け」(21/NHK)、「PICU 小児集中治療室」(22/フジテレビ)ほか。2025年は主演作の映画『国宝』(李相日監督)が高い評価を得ている。2025年度後期連続テレビ小説「ばけばけ」への出演を控える。


板垣李光人(いたがき・りひと)

2002年1月28日生まれ。近年の代表作は、映画『約束のネバーランド』(20/平川雄一朗監督)、『ブルーピリオド』(24/萩原健太郎監督)、『陰陽師0』(24/佐藤嗣麻子監督)、『八犬伝』(24/曽利文彦監督)、『はたらく細胞』(24/武藤淳監督)など。ドラマは「silent」(22/フジテレビ)、「どうする家康」(23/NHK)、「秘密~THE TOP SECRET~」(25/日本テレビ)ほか。2025年は映画『ミーツ・ザ・ワールド』、ドラマ「しあわせな結婚」(25/テレビ朝日)、連続テレビ小説「ばけばけ」(25/NHK)など。

『ババンババンバンバンパイア』

2025年7月4日(金)より全国ロードショー
監督:浜崎慎治
脚本:松田裕子
出演:吉沢亮 板垣李光人 原菜乃華 関ロメンディー/満島真之介/眞栄田郷敦
原作:奥嶋ひろまさ『ババンババンバンバンパイア』(秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
配給:松竹
©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 ©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022
https://movies.shochiku.co.jp/bababa-eiga/

衣装クレジット

吉沢亮
ジャケット 59,400円/セブンバイセブン(セブンバイセブン 03-5785-6447)、シャツ 49,500円、パンツ 53,900円/マッキントッシュ(マッキントッシュ 六本木ヒルズ店 03-5843-1580)

板垣李光人
シャツ 47,300円、パンツ 53,900円/ともにエトセンス(エトセンス オブ ホワイト ソース 03-6809-0470)、他スタイリスト私物

2025.07.04(金)
文=あつた美希
撮影=橋本 篤
ヘアメイク=吉沢:小林正憲(SHIMA)、板垣:KATO(TRON)
スタイリスト=吉沢:荒木大輔、板垣:伊藤省吾 (sitor)