
2025年6月、長野県小諸市にあるジオヒルズワイナリーの敷地内に、宿泊もできる薪火ダイニング「song」がオープンしました。

ことの始まりは2002年。小諸市にある1898年創業の老舗温泉旅館「中棚荘」五代目荘主の富岡正樹さんが、同市御牧ヶ原でワイン用のブドウの栽培を始めたことに端を発します。

ワイナリーの名前は「ジオヒルズワイナリー」。ジオヒルズとはベトナム語で風を意味するジオと英語で丘を意味するヒルを組み合わせた言葉で、意味は風の吹く丘。この名前には御牧ヶ原で育ったブドウがワインとなり、風にのって多くの人に届くように、との想いが込められています。

「風の吹く丘」から、ワインと“特別な食の思い出”を届ける
ブドウ畑には、最初にシャルドネ、2008年からはメルロー、2009年にはピノ・ノワールを定植。さらにそれ以降も品種を少しずつ増やしながら畑の面積を広げ、ワインを醸造。2025年7月現在、ブドウの品種は8種類、銘柄は15種類となっています。

そして、ワイン用のブドウづくりを始めてから23年目を迎えた2025年6月20日(金)。ジオヒルズワイナリーの第二章とも言うべき、新たなステージが幕を開けました。ワイナリーの敷地内に、宿泊もできる薪火ダイニング「song」がオープンしたのです。
一軒家のオーベルジュ

「song」の建物は醸造所の目の前に建つ一軒家で、言われなければ宿泊施設やレストランとは気づかないほど、敷地内に自然になじんでいます。それもそのはずで「song」の特徴のひとつは、まるで醸造家の家に招かれ、泊まるような体験のできること。
2階の部屋からは、ワイナリーとブドウ畑を一望

「song」の2階には1日1組限定の宿泊施設があり、1階は宿泊者以外も利用できる全12席のレストランになっています。御牧ヶ原の自然と文化を体感できる、いわばオーベルジュです。

店内の作りもまさに醸造家の家のよう。ゲストは夕方からダイニングキッチンに集まり、長いテーブルを囲む形で食事が始まります。最初は少し緊張するかもしれませんが、ワインを飲み、料理を味わううちに周りのゲストとも少しずつ打ち解け、会話も弾むように。

2025.08.17(日)
文・写真=石川博也