旅行の計画では、“どこへ行くか”、“何を食べるか”を真っ先に考える人が多いかもしれませんが、目的地まで“なにで行くか”を考えるのも醍醐味のひとつでしょう。

 そこで今回は、関東甲信越エリアでおすすめの観光列車を5つ厳選して紹介。単なる移動手段ではなく、移動時間の満足度を最大限まで高めてくれる、非日常空間を堪能できる観光列車をご紹介します。

 春の訪れとともに、車窓から眺める美しい風景を一層楽しめることでしょう。


◆伝統と革新が融合、日光・鬼怒川温泉への旅

東武鉄道「スペーシア X」

 まずご紹介するのは、東武鉄道の新たなフラッグシップ特急として誕生した「スペーシア X」。

 伝統あるスペーシアの系譜を受け継ぎながら、現代的なデザインと先進の技術を融合させた、まさに“進化”を形にした車両です。

 車内の美しくモダンなデザインは、江戸文化の粋と日光の自然をモチーフにしているそうで、まるで美術館のような洗練された空間が広がります。

 座席は、プライベートな空間でゆったりと過ごせる「コックピットスイート」、グループでの利用に最適な「コンパートメント」、カフェのような雰囲気を楽しめる「コックピットラウンジ」など、旅の目的に合わせて選べて多彩。最新の技術を採用し、静かで快適な乗り心地を実現しています。

 日光・鬼怒川温泉エリアには、世界遺産の日光東照宮や華厳の滝など、歴史と文化に触れることができる観光スポットが多数点在。鬼怒川温泉では、様々なタイプの温泉を楽しむことができるので、日々の疲れを癒し、心身のリフレッシュにも最適です。

<東武鉄道「スペーシア X」>

浅草駅~東武日光・鬼怒川温泉駅間を運行
料金 (浅草駅~鬼怒川温泉駅間 通常期 スタンダードシートの場合)1名 3,530円
 ※運賃1,590円+スタンダードシート特急料金1,940円
https://www.tobu.co.jp/spaciax/

◆天空を走る絶景…空にいちばん近い列車

JR東日本「HIGH RAIL 1375」

 次にご紹介するのは、JR東日本の観光列車「HIGH RAIL 1375」。

 長野県小諸市の小諸駅から山梨県北杜市の小淵沢駅までを結ぶ小海線を舞台に、天空の旅を楽しめる魅力的な列車旅。標高1375メートルとJR線最高地点を走る列車として知られ、車窓からは雄大な自然と四季折々の美しい風景が広がります。

 2号車には書棚を円形状に配置して、天文関連書籍を観覧できるギャラリースペースを設置。天井部に設置した半球形ドームに星空映像が投影されるのです。

 夜の時間帯に運行する「HIGH RAIL 星空」では“JRで最も標高の高い駅”、長野県の野辺山駅停車時間中(約40分間)に星空案内人による星空観察会も開催されるのだとか。季節の星座など星空にまつわる話を聞きつつ、天体観測が楽しめます。(※天候などの都合により、室内での案内もしくは中止となる場合もあります)

 車窓からは、八ヶ岳や南アルプスなどの雄大な山々、広大な高原、そして美しい渓谷など、変化に富んだ風景を楽しむことができます。

 車内は、2人並んで車窓を眺められる「ペアシート」、4人グループでの利用にぴったりな「BOXシート」、ゆったりと体を伸ばせる「リクライニングシート」など、長旅に嬉しい座席が揃っています。物販カウンターもあり、車内限定のオリジナルグッズも販売中。

 小海線沿線には、サントリー白州蒸溜所や吐竜の滝など、魅力的な観光スポットが盛り沢山。美味しいお酒を味わいながら、優雅に旅を満喫できるのも列車旅ならではの醍醐味です。

<JR東日本「HIGH RAIL 1375」>

小諸駅~小淵沢駅間を運行
料金(小諸駅~小淵沢駅間の場合)1名 2,360円
 *乗車券1,520円+指定席券840円
https://www.jreast.co.jp/railway/joyful/highrail1375.html

2025.03.23(日)
文=逢ヶ瀬十吾(A4studio)