この記事の連載
長野県 小諸市の旅 #1
長野県 小諸市の旅 #2
料理のプレゼンテーションも自由に行われる

調理や、食材を野山で採取するフォレイジング、接客を担当するのが栗山泰さんです。神奈川県に生まれ、すぐに山梨県へ。小学校の5年半をアメリカで過ごしたのちに山梨県に戻りました。

栗山さんは東京・目黒の蕎麦屋で5年、銀座の懐石での7年の修行を経て、長野の地産地消にこだわる蕎麦料理店「職人館」で3年半の研鑽を積みました。こちらの館主である北沢正和さんとの出会いが料理哲学の礎となったと話します。
「song」については「地域をお皿に、そこで活躍する魅力的な人やモノを素材に見立てて一皿に仕上げるような、御牧ヶ原を中心とした東信地方の風土をそのまま頂く“風土料理”を提供するお店にしたいです」と栗山さん。
ノンアルコールカクテルも充実

案内人であり、フォレイジングやドリンクを担当する石巻顕さんは、長野県上田市出身。実家が材木商で、幼少期から森や山、川など自然の中で多くの時間を過ごしてきました。
高校在学中はラジオ番組や新聞の制作、卒業後は東京でIT業界に身を投じたり、長野県松本市のホテル「松本十帖」で働き、そこで心打たれた「ファンキー・シャトー」でワイン造りを2年ほど学んだことも。さらには自ら食べることに向き合うため狩猟免許もとったり。幅広い経験が料理の世界に新たな風をもたらします。

「song」では、御牧ヶ原、小諸市、長野県の日々変化していく季節や自然環境を感じていただきたいと話す石巻さん。
「そこから生産者の方々や採取に入る山々などの風景をゲストのみなさんに繋いでいき、共に新しいモノやコトをつくっていきたいです」
趣向を凝らしたデザートも美味

自由に過ごせるレストランだと言われても、実際はどう楽しんでいいのか戸惑ってしまうかもしれません。そこで3人に「song」をどう楽しんでほしいか聞いてみました。
知人宅に招かれたホームパーティの感覚で過ごしてほしいと話すのは田村さんです。
「お店やお庭をウロウロしながら、この土地の素材を使った熱々の料理を和気藹々と楽しんでもらえると嬉しいです。肩肘張らずにおいしい物を食べたい方に利用して頂きたいですし、我々も入った瞬間から良いお家だなあと思ってもらえる環境でお迎えいたします」

「その場でのご縁に感謝しながら同じ時間を過ごしてほしいですね」と話すのは栗山さん。「みなさんが“song”という舞台の共演者として、楽しく盛り上がっていただけると嬉しいです」と期待を込めます。

「案内人として、その日にしか体験できない季節や自然を感じられるフォレイジングツアーを行ったり、ワインやノンアルコールカクテルを通して、“song”でしか味わえない味や香りの体験を提供したい」そう話すのは石巻さんです。醸造家の家を訪れたような感覚で御牧ケ原の生活や季節を体験してほしいのだそう。
3人の存在は「song」そのもの

「song」が目指すのは、ほかに類を見ないようなスタイルのレストランです。ネーミングには英語の「song」が持つ“歌”や“風の音”などの意味に、命の歌、大地の歌、風の歌を感じるという思いが込められています。ひとつ屋根の下に集ったゲストが楽しめるのは、素晴らしいワインと豊かな自然の恵みとともに奏でる、一夜限りの素敵なハーモニーなのです。
song
所在地 長野県小諸市山浦富士見平5656
営業時間 17:30(最終入店18:30)~21:30
定休日 月~水曜
ダイニングコース料金 19,800円。ドリンク・フリーフロー8,800円。
宿泊料金 ひとり41,800円(ディナー・朝食付き)
https://song-mimakigahara.com/



2025.08.17(日)
文・写真=石川博也