竹馬靖具監督の最新作『そこにきみはいて』は、孤独を抱えた3人の男女が、すれ違いながらも必死に繋がろうとする姿を描いています。
主人公・鈴木健流を演じた寛一郎さんは、撮影を通して自身の人生を見つめ直したそうです。繊細なセクシュアリティを持つ人物という難しい役にどう取り組んだのでしょうか。孤独と向き合うことについても語っていただきました。
オファーを受けた時に「ご縁」を感じた
――本作のオファーを受けた時のお気持ちからお聞かせください。
「ご縁」だな、と思いました。というのも、本作の原案を手がけた中川龍太郎さんとは、僕が20歳くらいの時にお会いしているんです。何か一緒にやろうと言っていただいて、何度かご相談していたのですが、実現できないまま時間が経ってしまって……。そんなことがあったので、本作のオファーをいただいた時は、すごくご縁を感じました。
監督の竹馬(靖具)さんの作品は、僕が出演した『菊とギロチン』(18年)で共演した小水たいがさんの主演作、『蜃気楼の舟』(16年)を拝見して存じ上げていました。しかも、中川さんの監督作品『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(16年)に出演された小林リュージュ(当時は竜樹)さんとも、『菊とギロチン』でご一緒させてもらったというつながりもありました。
もうこれはやらないわけにはいかないと感じ、ぜひやらせてほしいとお受けしました。
――脚本を読んで、鈴木健流(たける)という人物をどのようにとらえましたか。
すごく孤独な人だなと思いました。かつて“親友”はいましたが、誰かに悩みを打ち明けられるタイプではなく、自分で抱えてしまう性格なのだろうと感じました。
作中では明らかにされていませんが、おそらく家族とも疎遠で、あまりいい関係性ではないのだろうなと想像しました。
――孤独で誰ともつながりを持つことができない健流に、共感する部分はありましたか。
自分に近いものを感じました。僕は基本的に一人で自分の中にこもることが嫌いではないんです。もちろん、人と接したい、誰かと賑やかに過ごしたいという時もありますが、そうでない時は一人で過ごす時間を大事にしているところがあります。
そういう点では、他人と距離感を保ちながら孤独に生きている健流の生き方に、親近感を覚えました。
