2016年から生配信サービス「TwitCasting」で始まった怪談語りチャンネル「禍話(まがばなし)」。まるで友人と語り合っているような軽妙な語り口で語られるエピソードの数々は、耳の肥えた怪談ファンすらも恐怖させるハイクオリティな傑作ばかりです。

 今回はそんな禍話から、普段は廃墟探訪を趣味にしている女性Kさんが体験した不気味すぎる出来事をご紹介します――。

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バイト先で誘われた“訳あり”鍋パーティ

 「禍話」には語り手のかぁなっきさんの知り合いであり、廃墟を探訪してそこに泊まるのを趣味にしている、Kさんという女性の体験談が度々登場します。

 クールでドライな性格とは裏腹な甘い物好きゆえに、放送では“甘味さん”というニックネームまで付けられている彼女ですが、趣味の廃墟探訪の中では数々の恐ろしい出来事に遭遇してきました。

 今回ご紹介するのは、そんなKさんが何気ない日常生活の中で遭遇した、不可解で背筋のゾッとするお話です。

◆◆◆

 Kさんが大学生2年生だった平成の冬。冬休みに入る直前の2週間ほどの期間で、とある企業の事務作業のバイトをしたことがありました。

 若いのに物怖じせずスパッとした物言いをするKさんは、今でこそ肩身が狭くなった喫煙休憩を利用して、すぐに会社の先輩たちと打ち解けていったそうです。

「Kちゃんもうすぐバイト期間終わっちゃうんだって? 今週の金曜日さ、みんなで早めに上がって俺のマンションで鍋パーティするんだけど、よかったら最後に来てよ」

 バイト期間も終わりに差し掛かっていたある日の喫煙所で、男性社員のAさんからそんなお誘いを受けました。バイトが終わることに寂しさを感じていたこともあって「全然行きますよ~」と二つ返事で承諾したそうです。

「ふぅ~……人が多いと安心できるからよかったよ」

 寒風が吹き荒ぶ外階段。踊り場の手すりに寄りかかったAさんはホッとした表情で煙を吐きました。

「……訳ありですか?」

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