この記事の連載
つづ井さんインタビュー【前篇】
つづ井さんインタビュー【後篇】
「魂がオタク」なアラサー女子の“絵日記”でおなじみ『つづ井さん』。最新シリーズ『とびだせ! つづ井さん』で描かれるのは、上京したつづ井さんの楽しすぎるニューライフ! 知らない街での驚きに満ちたひとり暮らし、物理的な距離が離れても変わらない関係が尊い“前世からの友”との交流、そして新しい“推し”との出会い……。つづ井さんの「最高に楽しい!」日常や、今回のシリーズ全体に込めた想いをお聞きしました。
》【後篇】人生の選択を迫られた時、つづ井さんならどうする?「別の世界線を生きているパラレルワールドの“自分”に聞いてみて…」
絵日記を描くことがより楽しくなってきた

――『裸一貫! つづ井さん』を経て、新シリーズ『とびだせ! つづ井さん』はどんな内容にしたいという思いがあったのでしょう。
この絵日記のシリーズでは、実際に起こったことをそのまま描いているので、東京に出てきて環境が変わったら、内容も自然と変わっていくのだろうなと思っていました。なので引き続き、ありのままの日常を楽しく絵日記にしていきたいな、という気持ちで始めたのを覚えています。とはいえシリーズとしては3作目になり、それなりに長い期間続けてきたことで、いい意味で絵日記を描くハードルが自分のなかで下がってきている気がします。たとえば以前だったら、私は面白いけれど、みんなはそう思わないかもしれないから、わざわざ絵日記にしなくてもいいかなというような些細な出来事を描いてみたいと思えるようになったりして。年々気負わずに、楽しみながら描けるようになっています。
――続けてきたからこそ、たどり着いた変化といえそうですね。
読者の方からレスポンスをいただけるのも嬉しいです。起こった出来事自体に派手さや珍しさはなくても、描いてみたら意外とじわっとくるものがあったり、爆笑まではいかなくてもクスリと笑えたりすると、いいものが描けたなあと思えるんです。そういう経験を積み重ねてきて、絵日記を描くことがより楽しくなってきたというのはありますね。
自分でも驚くような発見が日々ある

――『とびだせ! つづ井さん』の1巻は特に、知らない街でひとり暮らしを始めるときの不安や緊張、高揚感が印象的でした。これまでのシリーズで描いてきたように、ひとり暮らしは初めてではありませんが、ある程度大人になってから再出発して感じたことは?
大人になってからのひとり暮らしで、しかも過去に経験しているにもかかわらず、自分でも驚くような発見が日々あるんです。本当に、大人が言うことじゃないですけど、「お母さんって、こんなことまでしてくれてたの!?」っていう気づきが多くて。絵日記にはそういうことも包み隠さず、恥ずかしがらずに描いています。ひとり暮らしを始めたばかりの大学生みたいなことを言っている今さらな感じは、自分でもわかっているんですけど(笑)。老犬の介護のために一度実家に戻って、ありがたさを感じたことも大きかったかなと思います(詳しくは『老犬とつづ井』参照)。
2025.06.29(日)
文=兵藤育子