この記事の連載
つづ井さんインタビュー【前篇】
つづ井さんインタビュー【後篇】
みんなで会う1回1回の時間を楽しむぞ!

――1巻でも「年齢を重ね それぞれライフステージに変化も出てくるお年頃」とありましたが、仕事や予定を一生懸命調整して、その日を迎えているからこその気合の入れ方が伝わってきました(笑)。
そうなんです。みんなで会う1回1回の時間を楽しむぞ! っていう気持ちが強いので。言葉にはしないけれど、関係性の変化はお互いに感じていると思います。特にMちゃんは、「誰かが結婚したり、遠くに行っちゃったりして遊べなくなる前に、いっぱい遊んでおこうね」と学生時代から定期的に言ってくれて、気合を入れて声かけをしてくれていました。
――集まったときの遊び方も、相変わらずといいますか、アイデアやオリジナリティ満載で素晴らしいですよね。事前にみんなで綿密に計画するのでしょうか。
やりたいことをそれぞれに挙げるんですけど、よっぽど無理なことでない限り、絶対にみんな乗ってくれるので、結果的にいつも、よくばりセットみたいになっています(笑)。大人になって、スケジューリングが板についてきた感じもありますね。朝から夜まで1日の行程をきちんと事前に組むのですが、自分たちの今の体力も加味して、現実的な範囲で計画できるようになったので。学生の頃はメチャクチャな日程でも動けたんですけど、体力には限りがあることを知って、取捨選択ができるようになったのはかなりの成長だと思います。さすがにこの日は一旦解散しようとか、朝はゆっくり目のスタートにしようとか、疲れていたら存分に楽しめないという意識をみんなようやく持てるようになったので(笑)。そうやって変化しながらも、つながっていられるのは、本当にありがたいですね。
人が推しにハマる瞬間

――1巻は、新しい環境で久々のひとり暮らしを満喫する様子も伝わってきます。たとえばスーパーでスイカを初めて買って、都会暮らしを実感したり、居酒屋で隣に座っている人に話しかけてみたりなど、日常のささやかなチャレンジが印象的でした。
たしかにどちらも、ささやかな中でも特にささやかといえるエピソードですけど、体験したそのときは、私ってこんなことできるんだ! とか、この年で初めての経験ってまだまだあるんだなあ! っていうような驚きと喜びがありました。記憶にとどめておくためにも、絵日記に残せたことは嬉しいですね。
――そして2巻は冒頭からまさかの展開で、新たな推しとの出会いが描かれています。
本当に絵日記の通りなのですが、なんとなく見ていた配信映像に映っていたアイドルグループの子から目が離せなくなって、何度も巻き戻して、同じところで一時停止してっていうのが止まらなくなっちゃって……。あの体験は、今思い返しても新鮮でした。

――たまたま、Mちゃんという目撃者がいてくれたのもよかったですね。
人が推しにハマる瞬間って、見ようと思って見れるものじゃないから、いいものを見せてもらったって、Mちゃんも言ってました。アイドルって毎日何かしらの情報や、ビジュアルというか新規絵が出てくるので、ありがたくて嬉しいんですけど、あまりにも恵まれすぎていて、これに慣れちゃいけない、慢心してはいけないと思っています(笑)。
》【後篇】人生の選択を迫られた時、つづ井さんならどうする?「別の世界線を生きているパラレルワールドの“自分”に聞いてみて…」
つづ井(つづい)
元気で楽しそうな姿が評判を呼んでいる。2014年10月からTwitter(現・X)で公開を始めた絵日記が話題を集める。2017年、デビュー作『腐女子のつづ井さん』が「第20回文化庁メディア芸術祭」推薦作品に選出。2019年『裸一貫!つづ井さん』が「第3回マンガ新聞大賞」大賞受賞。
X @wacchoichoi

とびだせ! つづ井さん2
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文藝春秋
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2025.06.29(日)
文=兵藤育子