世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第106回は、マカオから気軽に訪れることができる拱北の街を、芹澤和美さんがぶらりと散策します。
マカオ最北部から徒歩10分で中国本土へ
マカオは中国本土に隣接する街。湾のすぐ向こうに中国・広東省珠海市が見えるほど、その距離は近い。物価がマカオより安くて、似て非なる文化を持つ中国は、マカオから気軽に渡ることができる、プチ旅行先だ。マカオから中国本土へ渡る方法は3つ。1つは、以前の記事でも紹介した、埋立地(コタイ地区)からシャトルバスで渡るルート、2つめは、旧市街の港から湾を小船で渡るルート、そして3つめが、最北部のボーダーゲートから歩いて渡るルートだ。
右:シャトルバスで渡るルートは、コタイ地区にあるゲートから橋を通って、中国広東省珠海市の横琴島に入る。
もっともオーソドックスなのは、3つめの徒歩で渡るルート。マカオ最北部にある關閘ゲートまでは、街の中心地からタクシーやバスで20分ほどと、アクセスもいい。ここでマカオを出境、歩いて中国のイミグレーションまで行き、中国に入境する。手続きはIDやパスポートを見せるだけで簡単だし、歩く時間も10分たらずと短いが、便利なだけにここはいつも大混雑。中国からマカオへの観光客や、中国へ買いものに出かけるマカオの人たちで賑わっている。
もちろん、日本人もパスポートさえあれば越境は可能だ。私もときどきマカオから中国に出かけては、格安のネイルサロンに行ったり、市場をぶらついてお茶を購入したりしている。中国に入ったら、まずは両替。マカオの通貨はマカオパタカや香港ドルだが、中国は当然、人民元。パタカや香港ドルが使える店もあるが、現地通貨を持っていたほうが安心だ。
ゲートを出たとたん、そこは、ザ・中国。道路の幅は倍、人々の話し声の大きさも倍、マカオではめったに見かけない自転車が増え、街の雰囲気はがらりと変わる。日本の繁華街では、ティッシュペーパーを配る風景がよく見られるが、ここで配られるのは、高級マンションや別荘のチラシというのが、いかにも今の中国らしい。
2015.10.06(火)
文・撮影=芹澤和美