世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第107回は、大沢さつきさんが、素朴な風景の中に知られざる美味がいっぱいのプリンス・エドワード・カウンティを旅します。
19世紀の街並み残る英国的カントリーサイド
カナダ、オンタリオ州といえばまずナイアガラの滝。去年の夏から直行便が飛びはじめたトロント、そして首都のオタワが有名だ。で、観光でいったらダントツ、ナイアガラの滝なのだが、オンタリオ湖の北東岸にあるプリンス・エドワード・カウンティがただいま要注目!
プリンス・エドワードというと、『赤毛のアン』で知られるカナダ東端の島が有名だが、こちらは内陸、トロントから車で約2時間のところにある。近年、おいしいワインがつくられるようになったこの地区は、トロント市民が週末を過ごすエリアとしても知られている。
そもそもこの辺りは、プリンス・エドワードという名前からもうかがえるように、18世紀、独立戦争を嫌う英国王党派「ロイヤリスト」たちがアメリカから移り住んだところ。なだらかな起伏の地に広がる田園風景や、海のように広がるオンタリオ湖の景観が美しい場所だ。英国のカントリーサイドを思わせる素朴な風景は、とても心地よい。
中心となる街のピクトンでも人口約4000人。5分も歩けば端に行きつくような小さな街ばかりだが、19世紀の面影を残す古い建物がなかなかキュートで散策が楽しめる。中には小洒落たカフェなどもあり、思いの外おいしいケーキを食べることができたり……。
カントリーサイドの街歩きはやはり面白い。陶芸家や画家、彫刻家などのアーティストも多く住むエリアなので、ギャラリー巡りのルートもある。気になる人はツーリストインフォメーションへ。
2015.10.13(火)
文・撮影=大沢さつき