映画出演は別の道が増えたことにすぎない
――昨年11月開催の「野球21Uワールドカップ」では、所属する台湾チームが日本を抑えて初代王者に。あなた自身もベストナインにも選出されましたが、映画出演からの人気におごることなく、結果を出すことができた理由はなんでしょうか。
小学生の頃からやり続けている野球は、僕の人生の半分を占めています。だから、今回映画に出演したからといって、それを途中で投げ出すとか、怠けるといったことは一切考えられません。今回、映画に出演したことは一本、別の道が増えたということにすぎません。これから、どういう選択をし、どういう道を歩んでいくか。まだ20歳なので、じっくり考えていきたいと思います。
――現在、俳優活動のオファーも多いとは思いますが、将来の目標のようなものはありますか?
もちろん、プロ野球への夢はあります。でも、今後どういうチャンスが巡ってくるかということで決めていきたいと思います。俳優としての活動も、いいチャンスがあれば、それを逃さないようにしたいです。
ツァオ・ヨウニン(曹佑寧)
1994年4月24日生まれ。台湾・台北出身。小学生より野球を始め、11年にE.SUN全国青年野球スター選手賞を受賞するほか、12年のIBAF世界青年野球大会ではチャイニーズタイペイ代表選手に。俳優デビューとなった『KANO~1931海の向こうの甲子園~』では、台北映画祭の助演男優賞を受賞するなど、次世代俳優として注目される。現在、輔仁大学野球部で外野手を務める。
『KANO~1931海の向こうの甲子園~』
日本統治下にあった台湾で、嘉義農林野球部の新監督に就任した近藤(永瀬正敏)。呉明捷(ツァオ・ヨウニン)を始めとする台湾育ちの漢人(台湾人)、台湾原住民、日本人の混成チームは新監督の厳しい指導から弱小チームから成長。そして1931年、ついに甲子園出場の切符を手にする。
(C)果子電影
2015年1月24日より新宿バルト9ほか全国公開中
http://kano1931.com/
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2015.02.06(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央