悪役を演じた「仮面ライダークウガ」での本格デビューから、今や日本演劇・ミュージカル界を支える実力派俳優の一人となった浦井健治。ミュージカル界の重鎮、アンドリュー・ロイド=ウェバーとインドの人気作曲家A.R.ラフマーンがコラボしたマサラ・ミュージカル「ボンベイ ドリームス」の公演を控えた彼が、この15年の活動を振り返る。
オダギリジョーの敵役で俳優デビュー
――幼い頃の夢は? そして、何をきっかけに俳優を目指そうと思われたのですか?
幼少時代は外で遊ぶのが本当に好きで、よく木に登ったり、サッカーをしたりしてました。それから昆虫や動物も好きで、獣医になりたいと思った時期もありました。高校時代にはサッカー部やテニス部、軽音楽部などもやっていたのですが、そのとき通っていたダンススタジオの先生からの「やりたいことを突き詰めなさい」という言葉を機に、本格的にエンターテインメントの世界を突き詰めていこうと決心しました。それで今の事務所のオーディションに応募して、俳優を目指すようになったんです。
――その後、00年「仮面ライダークウガ」で俳優デビューされますが、物語の終盤に登場する悪の首領、ン・ダグバ・ゼバというインパクトのある役柄でした。当時の心境は?
オーディションで、ン・ダグバ・ゼバ役に合格して初めてお芝居に触れさせていただいたのですが、当時は右も左も分からない状態だったし、自分の中にはいわゆる悪役というイメージだけではなかったので、必死に取り組みました。真っ黒な姿のクウガに対して、真っ白な衣装でしたし、残酷で狂気さも秘めながら「ただクウガと戦いたい」という、無邪気でピュアな心を持つ青年役というのもありましたから。
――初めて体験されたドラマの現場という意味では、いかがでしたか。
スタッフ、キャスト全員が、作品を愛していて、みんなでひとつの作品を作っていく現場って本当に素敵だなと思いました。(クウガ役の)オダギリジョーさんと自分が雪山で殴り合うシーンを撮っていたとき、みなさん髪の毛から氷柱ができるぐらいの極寒だったんですね。そんななか、ロケバスの運転手さんがわざわざ缶コーヒーを買ってきて「頑張れよ!」と僕の首元に当ててくれたりと、いろいろなことが印象に残っています。
2015.01.09(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央