映画を観たファンが大学野球に殺到
――オーディション合格後、撮影のために大学を1年休学されたそうですが、それに関して、お父さんの反応はどうだったのでしょうか?
合格したとき、僕にとっては、これは映画に出演できる唯一のチャンスかもしれないと思いましたし、役柄は僕が長い間やってきた野球の選手役ですから、このチャンスを大切にしたいと思いました。それを父に伝えたところ、映画に出ることに対しては特に反対はありませんでした。その代わりに「自分のやりたいことを、しっかりやり遂げなさい」と言われたのを覚えています。
――撮影は大変だったと思いますが、いちばんの思い出は何ですか。
すべてが初めての経験で勉強だったので、全部印象に残っています。思い出を特にあげるとするなら、クライマックスの、甲子園での決勝の撮影です。当時、甲子園に集まった多くの観客に感動を与えた嘉義農林の選手の気持ちになって、無我夢中で演じたのを覚えています。
――昨年公開された台湾では爆発的なヒットを記録し、社会現象にまでなり、あなた自身も一躍時の人になりましたが、正直この状況は予測できましたか。
撮影のときは、初めてのことにどうやって挑むか、ということしか考えられませんでした。でも、どこかでちょっと期待はしていたかもしれません(笑)。今は映画を観たファンの方が大学野球の試合会場まで来てくれるようになりました。それも若い女性だけじゃなく、男性の方も、また親子連れの方も増えました。これまで来てくれるのは、家族や親戚、友達ぐらいでしたから、うれしいですね。
2015.02.06(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央