大塚 愛=キュンの法則

「あーたしさくらんぼー……♪」
 最近、猛暑でモーロ―としている自分を鼓舞するべく、歌を口ずさむ(暑くてヘロヘロなので地を這うような歌声ではあるが)。特に大塚 愛。彼女の歌が自然と出る。
 あっつ、暑っ。あっつー! という独り言が漏れるのと同じくらいのレベルで
 「笑って笑って~」(「SMILY」)「ハッピーデイズ、ハッピーデイズ♪」(「Happy Days」)。
 頭の中でサビがグルグル回りっぱなしである。記憶にある歌詞が正しいかチェックすべく、歌うだけでなく聴く。「ラ」を「ルア」と発音する舌ったらずな感じ、喉から出すような甘い歌声。あざとくて少しムカつくのだが、その10倍、ウキウキキュンキュンする。そして結局リピートを押してしまうのだ。「くっそー、もう一回♪」と! 

 唐突に大塚 愛ループが始まったわけではない。きっかけは忘れもしない先月末、仕事でご一緒している若きレディに「青春時代、よく聴いた歌手は誰?」と質問をしたところ、
「大塚 愛さんですね!」
 と、笑顔で返ってきたことだった。その瞬間、ビビビと走ったのだ。私の身体に、甘酸っぱい感覚の稲妻が。そして思わず、
「おーおーつーかーあーいー!」
 と叫んで身体をクネクネしてしまった。尋常ではないキュン。もう一度心でその名を反芻してみる。
「大塚 愛」
 キュン♪ 
「大塚 愛」
 キュンキュン♪ 
 ヤダ切ない! 我ながら変態のようだが、この瞬間から頭の中で「さくらんぼ」「Happy Days」のリピートが始まった。しかもそれから数日後、YouTube人気企画「THE FIRST TAKE」で、彼女の名バラード「プラネタリウム」がアップされたのである。

「THE FIRST TAKE」プラネタリウム

https://www.youtube.com/watch?v=kPFG14NWavI

 運命かよ……! 若き日の恋の寂しさと嬉しさに加え、小栗旬にフォーリンラブしたドラマ「花より男子」を丸ごとブワッと思い出し、「いいね」を1万回くらい連打しそうになってしまった。
 彼女の声はまったく変わらず、切なく美しい。これを聞くと「金魚花火」も聴きたくなる。コメント欄を観たら、同じ気持ちの方が多くいらっしゃるではないか。
 これはもう、大塚 愛=キュンの法則を復習するタイミングかもしれない。ありがたいことに、彼女の歌は、夏にとても似合う――。

2024.08.02(金)
文=田中 稲