「レディ・ベス」ではお客さんに“ひとときの幸せ”を与えたい
――さて、そんな吟遊詩人ロビン・ブレイクを演じるミュージカル「レディ・ベス」。じつはオーディションに受かる自信がまったくなかったとか?
そうですね。今まででいちばんダメなオーディションだったんですよ。緊張しすぎて、声は震えるわ、頭の中が真っ白になるわで、終わったと思いましたね。でも、(音楽/編曲のシルヴェスター・)リーヴァイさんに「今度はもっと自由に歌って」と言っていただいて、やり直したんです。さすがに恥をかいたと凹みましたよ。後日、「ロミジュリ」の稽古中に「決まった」という話を聞いたときは、思わず「嘘でしょ?」と言ってしまいました(笑)。
――ちなみに「レディ・ベス」では、どんな新たな加藤和樹の顔が見られるのでしょうか?
ロビンはベスに変化を与え、憧れとなる人物ということもあって、人を幸せにするというか、温かい気持ちにさせるような人間だと思うんですよ。だから、何よりも自由だし、どこか爽やか。どちらかという僕の引出しの中にはないものなんですけれどね(笑)。今回はそれを引っ張り出してくるところからの作業だったんですが、聴く人を楽しくさせるような楽曲も多いので、ひとときだけでもベス、そしてお客さんに幸せを与えたいと思います。
2014.03.21(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹
スタイリング=立山功